TBS「解放区」のオウム特集を観て──笑ったあとに残った、本当の怖さ
先日、TBSの深夜番組「解放区」でオウム真理教の特集が放送されていました。
https://www.tbs.co.jp/kaihou-ku/archive/20250406.html正直、「TBSが?」と思ってしまいました。
というのも、TBSといえば、かつてオウム事件において極めて大きな問題を起こした放送局。坂本弁護士一家殺害事件の発端ともなったインタビュー映像の漏洩事件──「TBSビデオ問題」は有名ですよね。
そんな過去があるTBSが、何食わぬ顔で「真相に迫る」的なスタンスでオウムを取り上げるとは……。最初はあまりの厚顔無恥ぶりに笑いすら出たんですが、観ているうちに、笑っていられない“別の怖さ”を感じました。
番組の作り自体は、淡々としたドキュメント風。90年代の映像や資料を使いながら、事件の流れを辿っていきます。内容自体は知っている話ばかりだったんですが、妙に演出がテレビ的で、どこか“他人事”として消費させようとしているようにも感じました。
何より、「なぜ今これを放送するのか」という意図が見えない。20年、30年経ってなお、「語り直し」が必要な事件であることは間違いないのですが、加担した側のTBSが語ることで、逆に“語り直し”が歪められる危うさを感じました。
「自己検証」は済んだと思っているのかもしれません。でも、テレビ局が「報道する自由」を主張するなら、「報道される側に対する責任」も、もう少し丁寧に向き合ってほしい。
かつて笑いながら観ていたバラエティやニュースの向こうに、恐ろしいほどの無責任が潜んでいたこと。そのことを思い出すと、今回の番組も「面白かった」で済ませてはいけないと思いました