衛門がまるで今しがた気がついたように、

「あら、不思議なこともあるものね。何だかどこかでお会いした事があるような気がするわ。」

と言う。

「わたし達も同じ気がしますわ。本当に、嬉しいこと。」

「長い間、顔を見ることも無く日々が過ぎていくのを、しみじみ寂しく思っておりましたのよ。」

そう口々に昔語りをしていると、今度はとても色白で美しい二歳ばかりの子供を肩に抱いた女房が出てきた。

「衛門の君、お呼びですよ。」

その女房を見てみれば、以前同じように源中納言家で働いていた少納言であった。

「不思議なこと。まるで昔に戻ったような気分だわ。」

「懐かしい声だこと」

そう言っては皆で昔を懐かしんでしゃべりあった。

言ったことは、いちいち書かない。面倒である。

お互いに、会えて嬉しいという内容だった。

昔馴染みの人々が格別な引き立てを受けていたので、新しく来た女房達も『頼りになる働き先ね』『いい屋敷だわ』と互いに思いあっている。

 

 

 * * * * *

 

 

衛門は白々しいですが、女房達は「あぁら、久しぶり!」のご対面です。

しかし作者は「うるさし。(いちいち書くのは面倒くさい)」の一言で割愛しました。女が三人でかしましいとは言ったものです。

中納言家を出たときには、「もうここの皆さんともお別れね・・・」と思って出てきたはずなのに、新天地にいるのはちゃっかり同じ顔。

以前、他にも引き抜いていたようなことも書いてありましたから、どうやら衛門は相当数の女房を二条邸に引き抜いておいたようです。

さぁ、この見事な女房ぞろいを、源中納言家に見せ付ける事ができるのでしょうか?


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