少輔の供の者は、自分たちの主人が笑い者になっていることも知らずに、ごちそうが準備された部屋で飲み食いして大騒ぎしてすっかり居ついてしまっている。

一方、少輔のいる宴の席は人が一人残らず席を立ってしまったので、することもなくなってしまった少輔はいつものように四の君の部屋に入った。

 

北の方は婿が有望な右近の少将ではなく愚か者の兵部の少輔だったと聞いて目の前が真っ白になり、呆れて戸惑っていた。

中納言は「老いた身の上に、とんでもない恥をさらしてしまったことだ」と爪弾きをして、部屋で座っていた。

四の君は帳台(ちょうだい=帳を垂らした部屋。この場合は寝室代わり)の中で横になっているところに急に少輔が入ってきたので、逃げることもできない。

四の君の女房たちはただただ四の君を哀れむだけだった。

仲立ちをした女房も悪気があるわけではなく、四の君の乳母だったので何も言うことはできなかった。

誰もが嘆き明かしている中、ひとり少輔だけが「四日目からは女の家に泊まるものと言われていたな。」と思って、夜が明けてもいつまでも四の君と共寝をしていた。

 

 

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中納言がまた爪弾きをしていますね。

落窪姫が帯刀と付き合っているという嘘が流れたときにも、爪弾きをしていました。

イライラしたときの貧乏ゆすりと同じような行動かと思ったのですが、どうやら厄払いの意味があるようです。

 

北の方もようやく婿が少将ではないことを聞き知りました。

自慢の婿が増えるはずが、とんでもない笑いの種を抱え込むことになってしまったようです。

それにしても、少輔のにぶさというか、空気の読めなさは天下一品ですね。

妻の父親が盃も交わさずに引っ込んでしまい、客も全員帰ったのにただひとり宴会の席に居座って、手持ち無沙汰になったところで歓迎されてもいない四の君の元へと向かいます。しかも少輔、帰ってくれません。

ある意味、見上げた無神経さですね。