長年、大学職員を長く経験し、事務職員としてではあるが約35年ぶりに公立中学校の現場に戻り、いくつか感じたことがある。

 職員室の雰囲気は、ほとんど変わらない。約35年前は1学年10~11クラスの中学校であったが、今では6~7クラスあればマンモス校と言うようだ。

 建物はほぼ変わらないので教室が余っている。というより昔に比べて適正だと思う。

 先生方の服装は私学に比べてかなり自由だ。机上も昔ながらに騒然としていてかなりの多くの書類に囲まれている。職員室に電話は2台しかなく、取次は大きな声で「〇〇先生」と呼んできてもらう。内線での取次に慣れている自分にはいささか市場の「せり」のような時もある。

 最初に苦労したのは、生徒の名前だ。苗字はともかく下の名前が読めない。きらきらネームがほとんどで、まず読めないし男女の区別もつかない。「〇〇男」や「〇〇子」という名前はまず見当たらない。

 大学でも同じ状況だが、大学では4年間不変の学籍番号があり、さまざまなデータなどは学籍番号をキーに管理されている。しかし中学校にはそんなものはない、せいぜいあるとすれば「学年、クラス、出席番号」を並べた4桁の番号である。しかし学年が上がれば変わってしまうので1年しか使えない。(もちろん地域によるが・・・)

 いちいち名前で検索するが、フリガナがないとヒットしない。紙の名簿を目で追うが、覚えるのに数カ月は要した。特に給食費などの入金確認などの際には苦労する。

 こうした状況ですので、生徒のデータベースは存在しない。

 大学では成績処理や学費の管理、資格情報などはデータベースで管理されており、文科省から言われている学修成果の可視化や今後の施策の資料となる統計的資料を必要に応じて作ることが可能だ。学生個々の修学状況もこれをもって指導の資料となる。 そもそも中学校にはそこまで必要性がないのかもしれませんが、中学3年間の継続した指導や生活状況の変化など学習環境を引き継いでいくのは大変なことだと思われる。

 これとは別に先生方には個々に担当があって、例えば学年固有の教材、消耗品の管理や行事での業者とのやり取り、学年ごとの担当者がいて、内容も学年ごとに異なる。具体的には学年ごとに通帳をもっており、しかも担当者の個人名で口座を作っていたりする。従って、担当者が異動や退職などで変わると、個人の印鑑で出し入れしたりしていて新担当者が困る。しかも前年度からの繰越金が合わないと今はいない前担当者に聞かなければならない。

 これって、先生の仕事?大学では事務の仕事。ただ、悲しいかな学校事務職員にもその余裕はない。これは各学年ごとにやり方が異なるので、さらに難しい。

 大学ではその昔、事務職員は教員の下働きみたいな風潮があったようだが、大学運営の複雑さや多忙さに今や事務職員なしでは大学は立ち行かない。直近の法令改正(大学設置基準)でも教員、事務局との連携の重要性に言及されている。

 何の責任もない立場から、個人的に言わせてもらえるなら、雇用形態は問わないが、事務職員を学年ごとにはりつけて、いっしょに学年運営にかかわっていかなければ教育以外の業務は減らせないのではないかと思ったりする。

 くれぐれも申し上げておくが、以上はあくまで感想であって、ただの独り言として流してほしい。