さいたま市(大宮駅近く)に漫々亭というラーメン店がある。25年くらい前、私が高校生の時に大宮市に住んでいた友達に初めて連れて行ってもらい、今でも年に3回くらい食べに行っている。

 通な人ならご存知かと思うが、大宮には二つの漫々亭があった。25年前そごうの建築現場だったところから南西の方向にあった店舗と、今もある丸井の裏の方にある店舗である。

 私は学業成績が振るわなかったことから、高校を卒業して一年間、駿台予備校のお世話になった。予備校には食堂もあったのだが、毎日食べるにはメニューも当時はそれほど豊富でなく、また、席数も限られていたことからお昼休みのチャイムが鳴ると我々(?)は近くの食堂へ急ぐのであった。

 予備校仲間で人気があったのは今はない予備校裏の満々亭だった。当時はそごうの建設工事も行われており、10人も入れば満席となってしまうお店の前と横には特別のテラス席も用意してあった。

 おすすめは勿論、スタミナラーメンであるが、ジャージャー麺も捨てがたい。時間がない時はチャーハンを食べた。

 お店側も心得たもので、チャーハンは前もって作っておき、大きなジャーの中に熱々の状態で保温して、我々が来るのを待っていたのだった。私の親友はそれをもじって、「ジャーハン」と呼んで面白がっていた。

 このお店は私の大学在学中にそごうの東向かいに移転して、半地下の大きなお店になった。岩槻に住んでいるサークルの同級生と一緒によく食べに行ったものだった。

 お財布にやさしく、ジャージャー麺と餃子とスタカレー丼を食べてもとても安かったと記憶している。腹を減らした貧乏大学生には本当にありがたかった。

 暫くしてそのお店が閉店された。15年くらい前のことである。名物マスターはどこに行ってしまったのか心配していると、ネットにヒットしたのであった。

 指扇に移転したとのことで、私は3年くらい前だったであろうか、家族を連れて食べに行った。当時はマスターもお元気で私のことも覚えておられ、感動の再会を果たすことができた。

 スタミナラーメンは数十年の歳月を経てさいたまご当地ラーメンとなった。ネットや雑誌でも紹介され、お客さんもひっきりなしに入ってくる。

 ホームページを拝見すると私が大変お世話になったそのマスターは昨年急逝されたとのことであった。

 非常に惜しい人を失ったが、当時苦学していた我々を食の面から支えてくれたマスターには当時の浪人生を代表して感謝申し上げたいと思う。

 さて、ご当地といえば古河の「カレー麺」であるが、浸透するには時間がかかる。もちろんマスコミをうまく使わなくてはならないとも思うが、何よりも継続は力を忘れずに頑張っていただきたいと思う。