専決処分:専決処分とは、本来、議会の議決・決定を経なければならない事柄について、地方公共団体の長が地方自治法(昭和22年法律第67号)の規定に基づいて、議会の議決・決定の前に自ら処理する事を言う。


 本日、古河市議会臨時会が開かれ、専決処分3件と議案1件が審議された。専決処分には二種類があり、一つは179条に基づくものであり、もう一つは180条に基づくものである。

 それでは179条と180条がどの様に異なるのかをご説明したいと思う。

 179条では「緊急の場合の専決処分」となっている。主に議会が機能しない事態への対処を目的として首長が独自の判断で処理するためにある。ただし、次回開かれる議会で承認を求める必要がある。

 ところが議会の招集権は首長が持っているため、延々と議会を開かなければ理論上専決処分が有効となる。阿久根市の市長はこの論理を使って専決処分を繰り返し、現在の状況に至った経緯がある。

 180条では「議会の委任による専決処分」が掲げられ、当古河市では市長の専決処分事項の指定については次のように定められている。

○市長の専決処分事項の指定について
                               平成17年12月19日議決
 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第180条第1項の規定により市長において専決処分することができる事項を次のとおり指定する。
1 法第96条第1項第12号に規定する和解
2 法第96条第1項第13号に規定する損害賠償で1件100万円以下の額の決定
3 法第243条の2第8項の規定に基づき職員の賠償責任を免除しようとする場合において当該賠償責任の額が1件50万以下のものの免除
4 本市が加入して組織する一部事務組合で、他の加入地方公共団体の名称変更に伴う当該一部事務組合規約の変更に関する関係地方公共団体の協議

 となっているのだが、皆さん何か間違いにお気づきであろうか?

 お分かりの通り、太字で示した50万と言うところが間違っている。この数字は単位が示されていないので意味が分からない。担当部局に於かれてはすぐに訂正したほうがよいと思われるのでこの場をお借りしてご指摘申し上げたいと思う。

 さて、本日は179条に基づくものが2つと180条に基づくものが1つ専決処分として議会に出されてきた。180条に基づくものは道路管理上の瑕疵による損害賠償の示談であった。

 問題は認定第21号及び認定第22号である。こちらは前回ご報告したとおり控訴の提起とそれに伴う補正予算についてであった。

 専決処分の理由として「議会を招集する時間的余裕がなかった」と記されていたが、私は本会議において「我々議員は市民の代表として、何をおいてでも議会に参加し、審議しなければならない」と述べた。報酬を頂いているのであるから当然のことである。

 そこで質疑を行った。「特に緊急を要するため、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認める時、とあるが、誰が認めたのか。と言う問に対して執行部より「市長である」と答弁を頂いた。

 判決書の正本送達を受け、控訴期限まで14日間もありながら、その間議会も招集せず専決処分を行うことを私は恐ろしく思った。

 そして訴状と判決の正本を議会に提出して欲しいという私の意見に対しては「一般周知が控えられる文言が含まれる」という理由から提示は叶わなかったことをここに謹んでご報告したいと思う。

 討論において「控訴が良いとか悪いとかという問題ではなく、今回の訴訟内容が理解できないまま審議する事は市民に説明できるものではないので反対する。また、専決処分は議会を開き、それが機能しない事態への対処を目的としているのだから、乱用といわれる事の無い様希望して反対討論とする」と述べた。

 残念ながら、この案件は賛成多数によって承認されてしまった。賛成された方は何を根拠に賛成されたのか別途市民の疑問に答える義務が生じている。

 最後に、主文にある賠償金(約2000万円)は仮に執行する事ができると言うのはどのような意味かと聞いたところ、仮差押で古河市の預金を差し押さえる事ができるとの答弁を頂いた。ただし未だ、差し押さえの通知は来ていないとの事。

 本当に疲れた臨時議会であった。