京都の古書店 で買った本「日本の民窯」に挟まってたのは出版社宛の読者カードハガキでした。
料金受取人払の差出有効期限は昭和48年7月25日。
律儀そうな字体ですべての項目に記入がありました。
住所・年齢・氏名・電話番号はもちろんのこと、職業・勤務先や購読新聞名まで!
このハガキの主は当時京都東山区在住で阪神電鉄にお勤めの55歳男性のTさん。
中国の青磁や天目がお好きで、窯を訪ね歩く旅に興味を持っておられたよう。
今まだご健在なら88歳以上かな?!
私がTさんに親近感を覚えたのは時を経て同じ本を手にしたからだけではありません。
心魅かれたのは感想欄に書かれてあった次の文章。
・・・・丹波窯(立杭)を尋ねし際、土地の窯を持ちそこで作品を作っている人々に「民芸品・民窯といふものはない」と叱られた・・・・
この本を買い求めたTさんは庶民が用いる素朴な器に日用の美を感じられていた方だと思うけれど、
民陶や民窯という呼び方に対して地元の陶工たちが強い違和感を持っていることにとまどいを隠せない様子が伺えます。
それは、藩窯や官窯があった昔にそれより一段低く格付けられた民窯という呼び名に対する陶工たちの反発だけではなく、
実用に徹しながらも温もりを失わず力強く飾らない美しさを持つ器を作ることへの大きな誇り故なのでしょうか。
しかし民窯の良さは、呼び方に左右されないたくましさと、独自性や芸術的価値を追い求めないところにあると思います。
なんとなく共感しちゃったな、Tさんに。