昔、『マネーの虎』という深夜番組で、ある2人の志願者が出演した。1人は「情報提供秘書会社」の設立資金の希望者で、もう1人は「まったく新しいインターネット事業」の開設資金の希望者である。いずれもNo moneyでfinishとなったが、今から振り返れば、インターネットの普及期にあって、着眼点は素晴らしかったのではないか、と思う。

細かいことは置いておくとして、最初の事業内容は、今で言うwikipediaであり、食べログである。そして2つ目の事業内容は、病院に特化した口コミサイトである。しかし、出資サイドの社長陣の反論も尤もなもので、私も志願者の説明を聞きながら、訴訟リスクや偽情報のスクリーニングが難しいだろう、だから事業として成立させるには無理があるのではないか、と思っていた。

この事情を劇的に変えたのは、やはりAppleのiPhoneの登場(2007年)が大きかった。不特定多数の人たちが、1ヶ所に、同じ切り口で情報を蓄積することができる土壌が整うと、そのためのプラットフォームの登場は時間の問題である。『マネーの虎』は2004年に番組終了しているが、さすがにiPhoneのような、手軽なモバイル端末の登場を予測した社長陣はいなかった。そりゃそうである。これを発想したのがSteve Jobbsしかいなかったからこそ、彼は伝説の経営者と言われるわけだし、Appleは巨額の利益を手に入れた。要するに、彼らの志願内容は早すぎたのである。

もちろん、食べログや口コミサイトの本質的な課題は殆ど解決されていないように思える。自分の店の評判をよくしようと、裏アカウントをたくさん作って虚飾まみれの投稿をしたり、または投稿する人間を買収したり、などは横行しているし、逆にちょっとでも利用者の気に入らなければ、ここぞとばかりに誹謗中傷のコメントで埋め尽くされたりする。こういうとき「集合知」を持ち出して、口コミ評価の正当性を弁護することもあるが、仮にある店舗を利用した人が必ずサイトに投稿しなければならないならいざ知らず、実際は、「いいサービス」はされて当たり前だ、と思っている日本人は多いから、コスパを考えると、当たり前の評価をわざわざ投稿する人は少ないはずである。一方、「悪いサービス」を受けた人は、仕返しの意味もあるだろうし、同様の被害を受けないようにという正義感もあるだろうし、低い点数や悪いコメントを書く人が多くなりそうなことは、容易に想像できる。よって、一般的に、口コミは評価の低くなる方へバイアスが掛かりやすい。

 

また、ある人が受けたサービスが、その店舗の全体を表しているかどうかは定かではない。たまたま、その日に働いていたアルバイトの接客態度が悪かっただけかもしれない。同じことは病院でも言えて、お世話になっている科のドクターがたまたま威圧的だったのかもしれないし、入院したあるフロアの病棟がたまたま重症患者が多く、看護師さんの対応が塩だったのかもしれない。

フロアによって、病棟の雰囲気がガラッと変わるという話は、リハビリ病院でも聞いたことがある。確かに、他人の情報は役に立つことが多い。しかし、それに惑わされるばかりだと、行けるレストランは高級店ばかりになってしまうし、全幅の信頼を以て身体をお任せできる病院などなくなってしまうだろう。

私がお世話になった/なっている大きな病院は東京医療センターと五反田リハビリテーション病院だが、いずれも個人的には「いい病院」である。ダメな要因は殆どなかったと言ってよい。だから、偶然、そういう病院の悪い口コミを見ると残念に思うが、しかしその投稿者にしてみたら、よほど悪意があって嘘を書いているのでない限り、その内容が真実であるのは間違いない。とは言え、真実は「その人にとって」という但し書きがあることを忘れない方がよい。結局、「私の真実」は私が経験して感じるしかない。情報に振りまわされるのは得策でないばかりか、不幸しか呼ばないと思う。

 

日付 曜日 天気 行き先 歩数
4月27日 本社 2,400
4月28日 🌞 東京医療センター 4,100
4月29日 🌥➣☔ 引きこもり
4月30日 🌥➣☔ 近所 6,800
5月1日 ☔➣🌞 引きこもり
5月2日 🌞 駒沢オリンピック公園 9,500
5月3日 🌞 近所 9,200

 

世間は、五月の節句の雰囲気にあふれている。碑文谷公園の池の上空には鯉のぼりが泳いでいた。

 

 

実に気持ちよさそうである。