ブォナ セーラー!!
干場です。
さて・・・。
最近読んだ本の第2弾ですが・・・。
以前もご紹介したと思いますが、この本です。
私をみつけて (ILM発行 伊藤操・著)
実は何を隠そう。
この著者の伊藤操さんは、僕の同僚です。
前にも、彼女のブログ「伊藤操のニューヨーク・ダイアリー 」をご紹介しましたよね!
リアルな今のNYが感じられて、僕のお気に入りブログのひとつです。
操さんは、元はハーパース・バザー日本版 の編集長で、その前は繊研新聞のNY通信員を15年間(1985~2000)務めてらっしゃったので、僕と違ってNY通です。
今は我社の一員としてニューヨーク駐在で、ジャーナリストとしても活躍されてます。
この、「私をみつけて」は今から2年位前に出版された本で、僕もその時に操さんから1冊頂いて読みました。
その時も80年代のNYが感じられて、流石、一番活気あふれる素敵な時期のNYを実体験してるだけはあるなー、と感心したのですが、今回「腸痛寝込み」のときにじっくり読み返して、また別の魅力を感じました。
やっぱり本って、読み返すほどに色々な発見がある、素敵なメディアですね!
本題に移って、かいつまんで言うと、この本は、そうだなあ・・・。
ラブストーリーですけど、単にラブストーリーじゃない、って言うか。
説明が難しいんですけどね・・・。
そうだ。
こういえばわかりやすいかな。
構成としては、日本からNYに渡った一人の女性の1年間の出来事をつづった日記です。
しかし、ストーリーのメインはあくまでも恋(もしくは恋をする心)。
よって、情景描写や会話という現実世界は80年代のNYのリアルな描写ですが、物語を読み終わって強く印象に残るのは、主人公がNYを舞台に苦しみ葛藤しながらも自分の幸せを見つけようと生きる姿。
今回読み返して、特に面白いと思ったのは、確かにラブストーリーに違いないんですが、「恋の起承転結」みたいなのがあって紆余曲折視ながら恋を手に入れる!みたいなありがちな物語ではないところ。
最近の恋愛小説ってそんな感じのが多いじゃないですか・・・。子供でも書けそうなやつ。
それか涙を誘う「泣かせる」系か。
そう言うのはさらっと読めて疲れないんですが・・・。
実際、この物語の主人公のユーコ・タカオカはそう言う意味では何かを手に入れるわけではありません。
自分の所属する編集部の長である賢一、そして若く野心あふれるデザイナーのマイケルとの邂逅が主題となりますが、全編を貫いているのは甘いロマンスではなくて、切なさだったり寂しさだったりします。
それに、我々現実に生きている人間なら誰しもが体験することになる現実の「冷酷さ」みたいなものも文章の中に織り込まれてる感じがします。
まあ、敢えて表現する、と言うよりはもともと「現実」って無慈悲なところがあるじゃないですか。
こっちの都合なんか考えてくれないで淡々と進んでいくというか。
人生のそう言う局面をよく捉えてると思います。
だからこそ、大人の我々が読むと感じるところがあるんだと思いますけどね。
かといって、暗いトーンで書かれているわけではなく、不思議と暖かいストーリーになってます。
これは、随所にユーコが見せる隠し立てのない表現、それは悲しみだったり喜びだったり寂しさだったりしますけど、それが人間味あふれてて素直な感じだからでしょうね。
それに、ユーコは人生のそう言う側面に何回か出会っても変にタフにならないって言うか、いつまでも自分の寂しさや悲しさをちゃんと正直に感じて、幸せになりたいって言う気持ちにも正直に動く女性なんですよね。
つまり、可愛い女性です。
「私はニューヨークでいつも誰かに”コール・ミー、電話ちょうだい、私のことを忘れないで”と叫びながら生活していたように思える。」(本文から抜粋)
読んでて、幾箇所かユーコの心情がリアルに感じられて、胸が締め付けられるようなところがありました。
ふー。
そうだ、リアル、っていうのがこの本を最もよく表してるかも。
確かに小説になってますけど、日記形式だし、主人公のパーソナルな心情が良く伝わってきます。
しかしねー。
操さん。
ひとつ聞きたいことがあるんですけどね。
なんか読み終わって完結!って気がしないですし、ラスト近くなってから続きそうなプロットがいくつかあったんですけど・・・。
続編がある構成になってませんか?
今度会ったら聞いてみようっと。
と言うことで、僕の拙い書評?がお気に召した方は、是非お手にとって読んでくださいね!
それではまた。
次回の「干場義雅の素晴らしき本の世界」でお会いしましょう!!(勝手に作るな!)
チャオ!