奇妙な場所に奇妙な家がある。
海へ行くといつも気になっていた。。。
海からの帰り道高速道路を走る。
高速道路は低い山の間を沿うように走っている。
のどかな景色を眺めながら走っていると、高い場所を走る高速道路の高さと同じ高さの位置にその家は建っている。
それも高速道路を意識して建てたように、映画にでも出てくるような雰囲気で建っている。
しかしその高速道路はまだ数年前に開通したばかりで建物の方がはるかに古い。
気味が悪いので気にしないようにしているが、運転していると必ず目に飛び込んでくるロケーションだ。
建物は山の急斜面に古いお城のように建っている。
いつも女房や子供たちとも話していた。
あまりにも気になり、ちょうど下り口があったので高速を下りてみた。
高速を下りるとそこには何も無い田舎の細い道。
どこかに通じる道なのか?どうしてこの場所に高速の下り口を造ったのか不思議に思える場所だった。
高速出口から30m程先に左に曲がる細い道があった。奇妙な家の方向としてはそっち方面だ。
左に曲がり1分程走ると車がやっと通れるくらいの道幅になった。
対向車が来たら絶対にすれ違うことはできない。
本当に何故ここに高速の出口が出来たのか不思議に思えるほど細い道。
その細い道を走っているとすぐに民家が数軒あった。
民家の前で犬を連れた人がいたが、細い道を通る見知らぬ僕の車を見て、知らない車が何しに来た?という目でジッと見つめていた。
その数軒の民家を通り過ぎると車がUターン出来るほどの広さの場所に出た。
そこで行き止まりにも見えるが、そこから3方向に細い道があった。
1本は右の山へ向かう原チャリくらいしか通れそうもない細い道。道と言うより獣道??
もう1本は大きな石を切って出来たような道。両脇を石の切断面のような壁に挟まれ車が通れるか微妙な道が延びている。
もう1本はその石の切断面の道から右に曲がりその石の壁をくり抜いたトンネルみたいになっていた。
僕は車を止めて歩いて行こうと言ったが、家族は「嫌だ!帰ろうよ~怖いよ~」と言いだした。
まだ周りは明るいが山に囲まれ薄暗く感じる。
1番下の娘にパパと2人で行こうか?と言ったら「うん」と言ったので2人で歩くことにした。
まず獣道のような道。少し歩くと完全に獣道。あまりにも気味悪いのですぐに断念(>_<)
次にトンネル道。これも短いトンネルを抜けると行き止まり。その先は崖と森になっていた。
そして車まで戻るとそこに一人の男の人が犬を連れてやって来た。先程の民家の前で犬を連れてた男性とは違う。
不可解な顔でこちらを見ているが、車の傍まで戻った僕たちと目が合うとニコっと笑った。
歳は60歳位だろうか?
その男性はこちらを不思議そうに見ていたので聞いてみた。
僕「この辺に高速道路から見えるお城のような建物はありませんか?」
男性「・・・・・なんで?・・・」
僕「ちょっと気になったから見てみたいと思って来たんですが、道に迷って・・・」
男性「・・・・・・」
僕「この道は行けるんですか?」
男性「・・・行けるけど、この車は・・・・・細い道だから歩いて行った方が良い・・・・・あそこは誰も住んでないよ・・・」
僕「ありがとうございました」と言うと男性は犬を連れて石の壁の道を歩いて行った。
僕は娘と2人で後を追って歩いて行った。
娘と話しながら蛇が出るかもしれないから端は歩かないで真ん中を歩こう(>_<)と言って道なりに歩いた。
2~3分くらい歩くと前には細い道が続くが右側には1メートルくらい低い場所に狭い田んぼが見えてきた。
その先には山が見えるが、そんな風景とは似合わない大きな石の橋が横に延びていた。高速道路だ。
その脇に奇妙な家が見えるはずだがそんなものはない。無いと言うより緑が深くて下からは見えないようだ。
僕たちが歩く道?はちょっとこの季節危ない気がした。
道の端には色々な虫が歩いている。小さなカエルも横断している。
ジメジメとした環境で右下には田んぼがあり、左は緑が茂った山になっている。
道は細く蛇でも出たら逃げ道はない。子供を連れて歩くには危険すぎる。人もいなければ民家もない。
僕は娘に車で来ようよ。ギリギリ通れそうだよ。と言うと娘は「うん。でもさっきのおじさんは何処行ったんだろうね?」と言った。
僕は初めて気が付いた。さっき道を聞いた男性は僕の前を歩いて行ったのにどこにもいない。。。(-_-メ)
周りには家もなければ横道もない。犬を連れて山に入る訳もなく、右側は低い場所にある田んぼで見渡せる。
しかしどこにもいない・・・・・
僕は深く考えるのを無理やり止めた。。。
そして車まで戻ろうと歩きだした。。。
娘は平気で「あ!カエルだ~。。カタツムリだ~!」と言って歩いていたが僕は気味が悪く、横に抜ける道がないか?男性が何処かにいないか、探しながら歩いて車まで戻ったが、男性も横道も見つけられないまま車に到着した。
車に戻ると今度そこには30代後半に見える男性が小学校低学年と見られる女の子を2人連れて歩いていた。
僕の方を見た時の顔はちょっと怪訝そうで、目が合うとやっぱりニコッと笑い車に視線を移した。
僕は娘を車に乗せ、細い石の壁の道へ入って行った。
左右は数センチ程しか余裕はない。
バックミラーで見ると先程の男性はもういない。
みんな何処へ消えるんだろう。何処かに横道があるんだろうか?
そんなことを考えながら細い道を進んだ。
左右ギリギリの道を暫く走ると岩が切断されたような石の壁は終わり、右が田んぼの細い道に変わる。
車で進むとこちらの道の方が怖い。タイヤが道幅ギリギリで、ゆるく右に曲がっている。
道の右端が崩れると田んぼに落下してしまう。
軽自動車なら通れるだろうけど大型のワゴン車は通ったことがないんじゃないか?と思いながら進んだ。
その先に奇妙な家が見えてきた。
見えてはきたが上る道はない。
高速の下まで来ると横道があり田んぼへと続いていた。そしてそこだけ道が広くなっていて車が2台くらいすれ違える広さになっていた。
田んぼへの横道は車が入れるような道ではない。
広くなっているのは高速道路が上にある範囲だけだ。その先は山の中への細い上り坂になっていてワゴン車で行けるような道ではない。
僕はわずかに広くなっている道路上で、何度か切り返しUターンした。
そして上を見上げると高速の隙間から奇妙な家が見えた。
高速からははっきり見えるのだが下からは小さくしか見えない。
高速の下だけは横の壁が人工的な石の壁で整備され道も舗装されている。
舗装されているのはわずかに20メートル程だ。
真下から見る家は来るものを拒むように高い場所に建っていた。
見ることもままならない。
この家を見るには下から見上げるか、高速道路から走りながら見るかしかない。
ナビゲーションで確認すると高速道路の出口は位置的にこの家の真裏辺りだろう。でも裏は山で遮断されていて、山の向こう側が出口になっている。
写真では街灯が立っているように見えるが、これは高速道路の街頭である。
いったいこの家は何なんだろう?と思いながら来た道を戻ると、右側に階段があった。
しかし草に覆われとても上ることはできない。
僕はここまでで諦めた。
小さい子供の頃だったら冒険心で登っただろうが、家族がいる今はとてもそんな気持ちにはなれなかった。
高速の入口まで誰とも会わずに来た。
この場所で会った人たちも、この家も奇妙だった。
あの人たちは何処へ行ったんだろう・・・