「イヌを叱る」をやめるために その1・その2 | わんこも、そして飼い主さんも

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思ったよりも長く続いております「イヌを叱る」をテーマにしたシリーズ。
でも、内容を見たら「イヌを叱る」ではなくて、「イヌを叱らない」だなぁと、書いてみて思うのですが。

さてさてさてさて。
ここまでのエントリをお読みの方であれば、きっとそろそろ「叱ることのリスクやらデメリットやらはわかった。うまくいかない理由もわかった。じゃあどうしたらいいんですか?」という疑問をお持ちだろうと思います。
これまでのエントリを振り返りつつ、まとめつつ、「じゃあどうするのか?」ということについて、お伝えいたします。

「イヌを叱る」をやめるために その1
叱る=褒める、構うであることを理解する


まずは、ここを理解してください。
叱るがうまくいかない理由 その2 」(まだお読みでない方は、先に読んでくださいね)でも書きましたが、大体の飼い主さんの「叱る」は「褒める」「構う」になっています
や、この場合は「しつけに悩んでいる飼い主さん」と言った方がいいかもしれません。
「叱ることが上手にできる人」というのは、「上手にできる」んだから、そもそもしつけに悩むことも、困ることもない。
でも、このブログを読んでいる方、あるいはトレーナーさんに相談しようかしらという方の大半は、「しつけに悩んでいる、困っている」という方だと思います。
そういう方の「叱る」は、大体「褒める」「構う」になっています。
だから「叱っているのに、なおらない」「叱っているのに、同じことを繰り返す」ということになるんですね。

ですからまずは、「私がやっている『叱る』は、この子を『褒めている』ことになってるんだなぁ」ということを、理解してもらえればと思います。


「イヌを叱る」をやめるために その2
叱らなくて済む状況、環境を作る


お家の中での「問題行動」は、これで随分と楽になるはずです。
「家具をかじる」「ゴミ箱を漁る」などの「イタズラ」なんかは、特にそうですね。
あなたが「叱る」とき、イヌは何らかの「行動」をしているわけですが、その「行動」が起こる「環境」「状況」を変えちゃいましょうという考え方です。

具体的な変え方は、どうしても「実際に暮らしている環境」によって随分とアレンジが変わってくるので、ひとつひとつ書くことはできませんが、どんなご家庭にもある程度応用できるものがあります。

1 片付けられるものはとにかく片付ける

イタズラで困っているという方は、まずはとにかく「噛まれて困る物」は、すべて片付けてみてください。
「面倒だなぁ」と思うかもしれませんが、ちょっと考えてみてください。
よちよち歩きの赤ちゃんが、灰皿の中にあった吸い殻を口に入れてしまった。
さて、あなたなら赤ちゃんを叱りますか?
違いますよね?
赤ちゃんの手が届くところに、そんなものを置きっぱなしにしていた人を叱りますよね?
「赤ちゃんが吸い殻を口に入れる」と、叱られるのは置きっぱなしにしていた「お父さん」だったりするんです。
でも、「イヌが吸い殻を口に入れる」と、叱られるのは「イヌ」だったりするんです。

片付けられるものは、とにかく片付ける。

これは、徹底してみてください。
お家もきれいになるし、一石二鳥です。


2 ケージ、サークルを活用する

こういう話をすると「イヌを閉じ込めておけってことですか?」と受け取られることがあるんですが、違います。

また「人間の赤ちゃん」を例に挙げますが、「捕まり立ちができて、何とか歩けるようになった赤ちゃん」を、あなたは家の中でいきなり自由にさせるでしょうか?
多分、させないと思います。
危ないですから。

それと同じで「何を口に入れるかわからないイヌ」にとっても、家の中は実は危険でいっぱいです。
電気のコードをかじって感電しちゃうかもしれません。
小さなオモチャを飲み込んでしまって、手術が必要になるかもしれません。
「石鹸を食べてしまった」という話も聞いたことがあります。
「人間が生活する空間」というのは、イヌにとっては「危険」だったりするんです。
ですから、「ケージ」「サークル」に入れておくことは、「イヌの安全、安心、健康、命を守ること」になるんです。

ただし、「単に閉じ込めておけばよい」というわけではありません。
これだと、ただの「隔離」ですから。

イヌがコタツで丸くなる理由 」というシリーズでも書きましたが、大事なことは「ケージ」「サークル」の中が、イヌにとって「快適であること」です。
つまり「なんの工夫もなしにただ放り込む」のではなく、「イヌが自分からどんどん入っていくような工夫」というものを同時にやっていけば、自然と「ケージ」「サークル」の中で長時間過ごしてくれるようになります。

そしてこれは「飼い主の注目を得るための吠え」いわゆる「無駄吠え」にも効果的です。
また「トイレのしつけ」にも、ものすごく有効です。
子犬、成犬関係なく有効です。

「ケージの中に入れるとすごく吠えるので、入れられません」という方が多いですが、それは「ケージの中で過ごすメリット」がないからです。
でも「ケージの中に居ると、ものすごくたくさんのメリットがある」場合、そんなことは起きません。

この2つのことは、とにかくやってみていただければと思います。
実際に随分と変わりますから。

で、「やってみたけどうまくいかない」場合は、迷わずプロに相談してください。
「ここをもうちょっと工夫したら大丈夫」というポイントを、たくさん教えてくれると思います。

続きます