しつけを前に進める、褒めるための「目標」の考え方 | わんこも、そして飼い主さんも

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イヌのしつけの基本は、まずは「褒める」こと
そして、その「褒める」ときの基本は、まず「してほしいことを考える」ということ。
こういったお話が続いています。

「正しいこと」「適切な反応」をした後に「褒める」というのは、もうたくさんの本だったり、ネットだったりに書いてあることなので、多くの方が「耳にタコ」状態かもしれません。
以前のエントリで、「ひたすら飼い主を怒るばかりで、アドバイスをしないトレーナーさん」の話を書きました。
もちろんあの例はフィクションですが、「しつけがうまくいかない」と悩んでいる方の多くは、まさにあのトレーナーさんのように「これをしてはダメ!あれをしてはダメ!」と、「どうやって、間違い、問題を減らすか?」というところに、フォーカスしてしまいがちです。
でも、大事なことは、「正しいこと、適切な行動」に、フォーカスすることなんですね。

しかし、では、その「正しいこと」「適切な反応」とはなんなのか?
それは、これまでに何度も書いてきた「イヌにしてほしいこと」です。
実際、どんなご相談にお伺いしても、それがとても重い問題行動だったとしても、まず最初に考えるのは「イヌにしてほしいこと」です。

ところが、この「してほしいこと」を考える際に、またもや「問題」にフォーカスしてしまうことが多いです。
それは、たとえばこんな感じ。

 「やっぱり、吠えないイヌになってほしいです。
  もう、とにかく吠えて吠えてしょうがないので。
  特に、イヌと会ったらものすごいですから。
  イヌと会っても吠えない。
  それを教えたいです」


「イヌと会っても、吠えないイヌになってほしい」

これ、「してほしいこと」を考えているようで、実は「問題」にフォーカスしてしまっています
問題にフォーカスしてしまうと、どうしても「問題を起こしているイヌ」ばかりを見てしまうことになります。
そうなると、やっぱり「吠えているのをなんとかする」という考えが、むくむくと頭をもたげてきてしまいます。
そして、褒めることから遠くなってしまいます。

目標を立てるときは、「~しないイヌ」と考えるのではなく、「~するイヌ」と考えます
そして、できるだけそれを具体的に、細かく考えます。
そうすると、「褒めるタイミング、ポイント」が、はっきりします。
「褒めるタイミング、ポイント」がはっきりしたら、あとはひたすら「褒める」だけです。

もちろん、褒め方の内容に色々とアレンジが必要な場合もあります。
ただ闇雲に褒めていればいいというわけでもなかったりします。
「してほしいこと」と「現在の状況」との間に、大きな開きがある場合は、その間をどうつないでいくか?ということも、考えなくてはいけません。
あるいは、「してほしくないこと」の回数が多かったりすると、もう少し工夫が必要だったりもします。

ですが、どんなご相談が来ようが、まず最初に考えるのは「じゃあ、イヌに何をしてもらうか?どんな行動をして欲しいか?」です。
前回のエントリで例にあげた「トイレのしつけ」は、それがとてもはっきりしています。
だから、褒めるタイミングがずれることが少ないんです。
でも、他の行動の場合は、そこがはっきりしていなかったりします。
だから、褒めるタイミングがずれたりします。
褒めるタイミングがずれているので、うまく伝わりません。
その結果、「褒めてるのにできないんですーっ!」ということになったりするわけです。

まずは、問題行動をどう減らすとか、ナントカトレーニングを試すとか、ほにゃらら法をやってみるとか考える前に、「私は、うちの子になにをして欲しいのか?」を、考えてみてください。
もしもそれが思いつかない場合は、プロの方に来てもらって、一緒に考えるというのもいいと思います。
実際、僕がご相談にお伺いした際には、必ず「どうなってほしいか?」「どんな暮らしをしたいか?」ということを、できるだけ具体的に、飼い主さんと一緒に考えます。
どんなことでもそうですが、目的地を決めないと、スタートできませんからね。


続きます