愛犬に「和室に入ってほしくない」と思っている飼い主さん。
「和室に入ったら、きちんと叱る」という対応をしているにもかかわらず、ちっともうまくいかない。
襖を鼻でこじ開けて入ってしまうことも増えてきて、さてどうしましょう…
これが、前回までのあらすじでした。
前回のエントリの最後に、このように書きました。
「考え方の基本」として、ぜひ覚えておいてほしいことがあります。
この基本は、どんなしつけでも、どんな問題行動の改善でも、あるいは他のちょっとした暮らしの中での困りごとの解決(たとえばこのわんちゃんのようなケース)でも、「鉄則」とも呼ぶべき考え方です。
それは、「してほしいことを考える」ということです。
多くの飼い主さんは、「犬にしてほしくないこと」を考えがちです。
なんなら、そればっかりを考えてしまいます。
「吠えてほしくない」
「飛びついてほしくない」
「イタズラしてほしくない」
こんな風に。
しかしこれでは、前回のエントリにも書いたように「罰則規定」が増えるばかりです。
罰による行動のコントロールは、実は結構難しいものがあります。
本などにもよく書いてありますが、「行動の直後」に罰を与えなければ、犬はなぜ叱られたのかわかりません。
つまり、「罰で行動をコントロールしよう」と思ったら、常に監視していなければいけないんですね。
人間の場合は、「言葉によるルール」の影響下に置くことができるのですが、犬にそれは通じません。
ですから、「してほしくないことを、罰する」という「考え方」は、なかなか難しいんです。
そこで、「してほしいこと」を考え、そこを「褒める」と考えていくわけです。
これまで挙げていた事例でお伝えしたかったポイントが、まさにこれです。
何度も「問題を減らそうと考えるのではなく、適切な行動を増やそうと考えましょう」と書いてきました。
1日は24時間しかありません。
24時間のうち、たとえば12時間問題を起こしているイヌがいるとしましょう。
しかし、残りの12時間は問題を起こしていません。
ということは、この「問題を起こしていない時間」が増えれば、当然「問題を起こしている時間」は減ります。
これが、しつけの基本的な、そして大事な考え方です。
「正しい行動をしている時間を増やす」
これが、鉄則であり、基本です。
では、そのために、あなたは何をすればいいのか?
それは、「では、正しい行動とはなにか?を考える」ということです。
すなわち、あなたがイヌに対して「してほしいこと」を、しっかりと考えるわけです。
それも、できるだけ「具体的」に考えます。
あやふやだといけません。
この「和室に入って欲しくない」というわんちゃんの例で、飼い主さんと話し合って決めた「してほしいこと」は、以下のようなものです。
・イヌ用ベッドで座る、または寝ころぶ
・飼い主の足元で座る、または寝ころぶ
・リビングで、オモチャで遊ぶ
・リビングのどこかで座る、または寝ころぶ
基本的には、↑に挙げた行動をしているときに、褒めたり、遊んであげたりを繰り返してもらいました。
結果、和室に入ることはなくなりました。
他にもちょっとした工夫をしていますが、それについてはいずれ触れようと思います。
とにかくここでは、「まず、してほしいことを考える」ということを、しっかりと知っていただければと思います。
続きます