「しつけと訓練の違い」2 | わんこも、そして飼い主さんも

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「しつけと訓練の違い」第二弾です。

同列にされることの多い「しつけ」と「訓練」の違いを考えることで、「しつけってなんだろう?」ということを考えていこうというエントリです。

前回のエントリ では「訓練は、しつけに絶対に必要ではない」ということを書きました。
でも、わざわざなんでそんなことを書く必要があるのか?
「訓練しながら、しつけする」じゃダメなのか?
そういった疑問があるかもしれません。
わざわざなんでそんなことを書いたのか?今回はこれについて。

犬は、色々なことを区別する」ということを、あなたはご存知でしょうか?
よくあるのが「お父さんが散歩するときは大人しいんだけど、私が散歩すると言うことを聞かない」というものですね。
あるいは「トレーナーさんがいるときは賢いんだけど、いないときはダメ」とか、「しつけ教室では言うことを聞いてくれるんだけど、家の近所ではダメ」とか。
他にも「大型犬には吠えるんだけど、小型犬には吠えない」とか、「女の人は大丈夫なんだけど、男の人は苦手」とか。
このように、犬は「色々なものを区別」しています
まあ、何を当たり前の話をとお思いかもしれません。

実は、この「当たり前の話」が結構くせ者なんですね。

「訓練をすることで、しつけに繋げよう」とすると、どうしても、その「訓練する時間」というものが生まれます。
あるいは「訓練する場所」とか。
しかし、その「訓練する時間」「訓練する場所」と、「それ以外の時間」「それ以外の場所」というものを、犬が区別してしまうことがあります。
時々聞きませんか?
訓練モードに入ったら、賢くできるんだけど」という言葉。
これはすなわち、その「訓練モードの時間・場所」と、「そうじゃない時間・場所」を、犬が区別してしまっているんですね。
あるいは、競技会などに行ってみると「訓練を発表しているときはキビキビと動いていた犬」が、「待ち時間や、発表が終わったら吠えまくってうるさい」という光景は、よく目にします。

こんな風になってしまうことを、果たして「しつけ」といえるでしょうか?
言ってみれば「学校では大人しくできるんだけど、家やプライベートでは傍若無人に振舞う」みたいなことです。
これでは、ちょっと「しつけ」とはいえなさそうな感じがします。

ここでお伝えしたいことは何か?
それは「しつけは、生活習慣です」ということ。

上に書いたような「区別」が起こらないようにする一つの対策として、「区別されないように、あえて訓練の時間を作らないようにする」というものがあります。
つまり、「日々の生活そのものの中で、少しずつ教えていく」ということですね。
あなた自身の子供の頃のことを思い出してみてください。
色々なしつけをされてきたと思います。
言葉遣い、挨拶、箸の持ち方、ご飯中は静かにする、口を開けて食べない、お礼を言う、謝罪をする…などなど。
では、それらをすべて「そういうことができるように訓練された」経験はありますか?
人によってはあるかもしれませんね。
それはつまり「訓練を、ツール(道具)」として使った例といえるでしょう。
しかし、全部が全部、すべて「訓練された」という方は、ほぼいらっしゃらないのではないでしょうか。
きっと、毎日の生活の中で、少しずつ積み重ねて覚えていったのではないでしょうか。
「犬のしつけ」も、同じなんですね。

そして、こういったことを書く理由はもう一つあります。
これはあくまで個人的な思いですが…
「犬のプロ」と呼ばれる人たちが、「訓練」や「トレーニング」という言葉でもって、「しつけ」を日常から引き剥がしたという思いがあります。
そして、「しつけ」を飼い主さんの手に戻すべきではないかと。

たとえば「アイコンタクトのトレーニング」なんていうものがあります。
「犬が飼い主の目を見るようにするトレーニング」です。
一般的には「飼い主の目を見ることが多い=飼い主を信頼している」といわれたりしています。
しかし、この「アイコンタクトのトレーニング」をどれだけやったところで、大人しい犬にはなりませんし、吠えるのがなくなったり、噛み癖がなおったりすることはありません。
いわば「アイコンタクトのための、アイコンタクト」といった風に、その訓練やトレーニングが日常に接することがないことが多いんです。

飼い主さんが犬にさける時間は限られています。
家事もあるし、仕事もあるし、ご近所付き合いもあるでしょう。
その中から、時間を捻出して犬と色々やるわけです。
貴重なリソースを、無駄なことに費やすことはありません。
そもそも「アイコンタクト」なんて、別にわざわざトレーニングしなくても、勝手にできるようになります。

そしてこの「勝手にできるようになる」が、大事なわけです。

是非、「訓練の時間」や「トレーニングの時間」を、設けないでみてください。
そして、「普段の生活そのものが、実は色々なことを学ぶためのチャンスになっている」という風に、ちょっと工夫してみてください。
訓練をするのでも、トレーニングをするのでもなく、ちょっと接し方や散歩の仕方を変えるだけです。
具体的には「犬に構ってあげるタイミングを変える」だけなのですが、詳しいことはまた今後に。
そうすれば、わざわざ「犬のために何か時間やエネルギーを割く」ことも、かなり少なくなります。

ここで言いたいことは、しつけに特別なことは別に必要ないということ。
実は、プロの手だって必要ないかもしれないわけです。
ちょっと工夫すれば、あなたの犬は自然と色々なことができるようになるし、賢くなっていきます。
そしてそれが「しつけは生活習慣」ということです。

でも、「どう工夫していいのかわからない」ということがかなりあると思います。
そんなときは、遠慮なくお近くのプロに相談してみてください。
きっと、何かアドバイスをしてくれたり、工夫の仕方を教えてくれると思います。

ocean styleの「しつけ相談のサービス」の名前が、「ライフカウンセリング」なのは、この「生活習慣を見直すだけでも、随分と違ってくるんですよ」という思いも込められています。

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