問題行動の原因を見つけるには? 基本的な考え方 | わんこも、そして飼い主さんも

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「問題行動の改善」テーマ、連載再開です。
前回の記事から、随分と間が空いてしまいました。
すみません。


「問題行動の原因はどこにある?」その1その2 では、「原因を、動物の内面に求めると循環論に陥ってしまい、何も説明したことにはならない」「行動の原因は、環境にあると考える」ということを書きました。
まだお読みでない方は、↑のリンクから是非一度お読みください。


今回は、この話をもう少し掘り下げて「どういう風に考えるのか?」という、「問題行動の原因の見つけ方」の基本的な考え方についてお話します。

では、「行動の原因は、環境にあると考える」ということを、具体的に見てみましょう。

まずは、簡単なところから。


「飼い主に飛びつく」という行動


「嬉しくて飛びついている」「さびしくて飛びついている」という説明がされたりしますね。
でもこの説明は、「循環論」に陥ってしまいます。

確かに、この説明でもつじつまは合います。
でも、「本当のところはどうなのか?」は、犬に聞いてみないとわかりません。
そして犬には、言葉は通じません。
「なんで飛びつくの?嬉しいの?さびしいの?」と聞いても、犬は何も答えてくれません。
だからこそ、循環論に陥らないような考え方が、必要になるわけです。

では、どうすれば循環論に陥らずに済むのか?
このように考えてみてください。

 構ってもらっていない → 飛びつく → 構ってもらえた

どうでしょうか?
こういう風に書けば、もう一目瞭然という感じですよね。

「構ってもらえた」という結果が、「飛びつく」という行動の原因と、考えます。
仮に、「どれだけ飛びついても、構ってもらえない」という状況になったら、きっと「飛びつく」という行動はなくなると思いませんか?
ということは、「飛びつく」という行動の原因は、「構ってもらえるから」と考えることができるわけです。


では次に、ちょっと難しいところにいきましょう。


「他の犬に吠える」という行動


「散歩中、犬と会うとものすごく吠えて困っている」
こういった悩みを持っている方は、少なくありません。
では、何故吠えるのでしょうか?

「他の犬が嫌いだから」
「縄張り意識が強いから」

こういった説明をされることがあったりしますが、これもまた「犬の内面に原因を求める」という、いわゆる「循環論」の構図になっているので、何も説明したことになりません

 「何故吠えるの?」→「他の犬が嫌いだから」
 →「何故嫌いだとわかるの?」→「吠えているから」
 →「何故吠えるの?」…以下エンドレス

 「何故吠えるの?」→「縄張り意識が強いから」
 →「何故強いとわかるの?」→「吠えているから」
 →「何故吠えるの?」…以下エンドレス

では、「他の犬に吠える」という行動の一連の流れを、見てみましょう。

 他の犬が来る → 吠える → 他の犬が去る

このような流れになっています。
こういう風に並べて書くと、気づきやすくなると思います。

↑の流れでは、「吠える」という行動の後に、「他の犬が去る」という「結果=環境の変化」が起こっていることがわかりますね。
そこで、次のように考えるわけです。

「他の犬がどこかに行ってしまうから、吠えてるんだ」

つまり、「他の犬が去る」という結果が、「吠える」という行動の原因なわけです。



「飼い主に唸る・噛む」という行動

これもまた、悩んでいる方が多い問題行動です。
この問題行動も、「犬がリーダーになっている」とか、「支配性が強い犬だから」といった説明をされることが多いのですが、ここでもやはり「循環論」の壁が出てきます。
それに、「犬がリーダーになっている」「支配性が強い」といった、俗に「リーダー論」と呼ばれる考え方そのものが、近年ではそもそも否定されつつあります

「飼い主に唸る・噛む」という行動についても、同じように考えることができます。

 飼い主がいる → 唸る・噛む → 飼い主がいない

もうおわかりですね。

「飼い主がいなくなる」という結果が、「唸る・噛む」という行動の「原因」なわけです。


これが、「問題行動の原因見つけ方」の基本です。

しかし、これだけではまだ不十分ですね。

まだ、もう少し考える必要がありそうです。