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ベートーヴェン・ハウス跡(ウィーン 1800年~1801年)

建物の壁に大きなモザイク画があって、そこには「ベートーヴェンの住居 1815-1817 作品 101, 102, 98, 106, 137」と書いてあるが、年代も作品も間違っている。『一般音楽時報』に載せられた、1800年4月2日に行われたベートーヴェンの演奏会広告には、ベートーヴェンの住所が連絡先として書かれている。この演奏会では、モーツァルトとハイドンの作品と、自作の交響曲第1番やピアノ・ソナタなどが演奏された。

この場所にベートーヴェンが住んだのは1800年から1801年春までで、この時期に作曲された主な作品は次の通りである。

七重奏曲 変ホ長調 Op.20(1799年)
交響曲第1番ハ長調 Op.21(1800年)
弦楽四重奏曲第1番 ヘ長調 Op.18-1(1800年)
弦楽四重奏曲第2番 ト長調 Op.18-2(1800年)
弦楽四重奏曲第3番 ニ長調 Op.18-3(1800年)
弦楽四重奏曲第4番 ハ短調 Op.18-4(1800年)
弦楽四重奏曲第5番 イ長調 Op.18-5(1800年)
弦楽四重奏曲第6番 変ロ長調 Op.18-6(1800年)
ホルンソナタ ヘ長調 Op.17(1800年)
ピアノソナタ第11番 変ロ長調 Op.22(1800年)
ピアノソナタ第13番 変ホ長調「幻想曲風ソナタ」 Op.27-1(1801年)
ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調「幻想曲風ソナタ」「月光」 Op.27-2(1801年)
ピアノソナタ第15番 ニ長調「田園」 Op.28(1801年)
ピアノ協奏曲第3番 ハ短調Op.37(1800年、1803年に改訂)
ヴァイオリンソナタ第4番 イ短調 Op.23(1801年)
ヴァイオリンソナタ第5番 ヘ長調「春」 Op.24(1801年)

元々あった建物は取り壊されて、今ある建物は新しくて昔の面影もない。この場所にベートーヴェンが住んでいたときには幾つかの名曲も作られているだけに、立派なモザイク画にはそれらについて全く書かれていないのがとても残念である。場所は、昔のウィーンの中心地で、今はもうない演奏会場も近くにあった。

Address: Tifer Graben 8-10


ブルンスヴィック伯爵邸(マルトンヴァーシャル(ハンガリー))

1800年、ベートーヴェンは4月末から7月初めまでブダペストにいて、ブダペストの王宮劇場で、ベートーヴェンは、1800年5月7日に、ジョバンニ・プント(Giovanni Punto)という通名で知られていたホルンの名手ヨハン・ヴィンツェル・シュティッヒ(Johann Wenzel Stich 1746-1803)と、少し前に作曲したばかりのホルン・ソナタを演奏している。

この滞在中に、ベートーヴェンは、ブダペストから離れた田舎町マルトンヴァーシャルにあるブルンスヴィックの別荘を度々訪れた。弟子のチェルニーによると、ベートーヴェンはよくハンガリーに行ったという。ベートーヴェンとブルンスヴィック家との出会いは1799年5月だった。未亡人となった母親が、ヨゼフィーネとテレーゼを連れて、18日間ウィーンに滞在した。娘達はよく教育され、音楽にも習熟していたので、母親は他ならぬベートーヴェンに娘達を学ばせたいと思ったのである。テレーゼの証言によると、母親と3人でベートーヴェンを訪ね、持って行った彼の作品を演奏すると、ベートーヴェンは喜び、毎日レッスンをしに滞在中のホテルに来てもらえる約束になった。その後の16日間、ベートーヴェンは一日も欠かさずピアノを教えた。約束の時間よりも長いレッスンが続き、その間に、親密で打ち解けた友情が生まれ、ベートーヴェンが亡くなるまでその友情が続いたという。当時30歳だったベートーヴェンは、24歳と20歳の姉妹に夢中になったのである。彼女らの従姉、ジュリエッタ・グィチャルディと最初に出会ったのは、もしかしたら、マルトンヴァーシャルにある別荘だったかもしれない。当時、ジュリエッタは17歳で、やがてベートーヴェンと2人は恋に落ち、青木やよひ氏ら何人かの研究家によると、ミノナの名付けられたベートーヴェンの子どもを産むことになる。

ブルンスヴィック伯爵邸はベートーヴェン博物館として建物内を公開しており、ベートーヴェンとリストが使用したピアノや、テレーゼが使ったピアノ、弟のフランツ・フォン・ブルンスヴィック伯爵が使用したチェロなどが展示されている。ベートーヴェンの仲の良い友人だったフランツには「熱情」ソナタが献呈された。

Address: Martonvásár, Brunszvik utca 2, Hungary

*写真は2枚目から4枚がブルンスヴィック伯爵邸の外観、続く残りが内部。暖房機と一緒に写っているピアノがベートーヴェンとリストが使用した楽器。ピアノとチェロが並んでいる写真が、テレーゼとフランツが使用した楽器。