「感じるままに曲を作るようになって、肩の力が抜けた」(一生)

■今作で印象的だったのは、その曲のバリエーションの広さと、それぞれの完成度の高さなんですけど。ほとんどの作曲(尼川元気による『ベガ~過去と未来の北極星~』を除く、全14曲中13曲)を手がけた阪井さんにとって、ソングライターとしてこれまでの殻を破るようなきっかけが何かあったんでしょうか?
一生:きっかけはさっきも言ったように、ツアー中に“無理だ!”ってなって、完全に一度パンクしてからなんですけど。そこから、もうあまり考えることをやめて、感じるままに曲を作るようになったんですね。曲でいうと、『two of us』って曲が大きかったかな。そこからちょっと肩の力がいい感じで抜けて、リラックスした状態で曲が書けるようになった。とりあえず“もういいや!”って全部投げ出した感じ(笑)。すごくさわやかで、軽やかな曲なんですけど。自分にとっては、このアルバムを象徴する1曲ですね。
■山村さんとしては、「こんなにいい曲ができたんだから、詞と歌でそれに答えなきゃ」っていう、そういうプレッシャーを感じることもあった?
隆太:あぁ、それはありましたね。別にそこで(阪井)一生にライバル心をむき出しにしてっていうのとは違うと思うんですけど、今回はメロディーからもらえる刺激がすごく多かった。もちろんこれまでも“いい曲だな”って思うことは多かったけど、それだけじゃなくて、メロディーからいろんなものを“もらった”感じがしたんですよね。たとえば『two of us』は、一聴すると明るい曲にも思えるんですけど、その裏にある哀しみとか憂いの感情まで込められてると思ったんですね。そこに、生きる意味っていうものまで感じさせてくれるメロディーっていうか。今作はメロディーから言葉や歌が生まれてくるんだっていうのを、これまで以上に感じることが多かったですね
flumpoolインタビュー
デビュー前からブレイクし、1年目にして武道館公演を成功させるなど、快進撃を続けてきたflumpool。だが、本音の部分がリスナーに伝わっているのか? という悩みにも直面していたという。そんな彼らが、新作『Fantasia of Life Stripe』完成までにたどった心の軌跡を聞いた。

「“斜めから見られてる”と感じることが多かった」(隆太)


この2、3年、メジャーシーンでブレイクを果たすニューバンドが減少していくなか、flumpoolの快進撃は特筆すべきものだった。親しみやすさと普遍性が高い次元で融合した楽曲と歌の力で、デビューと同時にスターダムに上り詰めた彼らは、この2年間まったく勢いを失うことなく、いまではアリーナを埋め尽くすオーディエンスを前にライブバンドとしても大きく成長した姿を見せつけている。でも、そんなこれ以上ないほど順風満帆に見えるflumpoolの着実な歩みの中にあって、バンドの内部では「まだ伝わりきってない」という危機感を抱え続けていた。2枚目のフルアルバムとなる今作『Fantasia of Life Stripe』は、そんなflumpoolの立っている現在地からの4人の鮮やかな回答であり、より生々しくてリアルな新しいflumpoolの音楽世界へとリスナーを誘う、決定的な1枚となっている。作品の手応えについて、メインのソングライターである山村隆太(ボーカル)と阪井一生(ギター)に話を聞いた。
■音楽的にも精神的にもとても自由で、本当の意味で裸になったflumpoolの音楽が今作からは聴こえてきました。
隆太:これまでいろんな人の目線や、いろんなプレッシャーっていうのを感じながら作品を作ってきた感があったんですけど、ここにきて、もっと本音の部分だけで曲を作ってもいいんだって思えるようになったんですよね。2010年はフェスとかイベントに出る機会が多かったんですけど、“あ、まだ自分たちって斜めから見られてるなって”って感じることが多かったんですよ。きっとその理由は自分たちの音楽にあって、これまでちょっと優しすぎたっていうか、いい人であろうとしてたと思うんですよね。
■八方美人だったってことなのかな?
隆太:………そうですね。そう言ってもいいかもしれない。自分はすごく負けず嫌いだから、たとえば“ポップな曲を”って求められたら、求められた以上のものを投げ返してやりたいっていう気持ちが強かったんですよ。でも、このアルバムではそういうニーズに応えるということにとらわれず、ルールや形式を決めずに、もっと自由に、本当にいま思ってることをそのまま音楽にするっていう。それが、メンバー全員で話し合って決めた最初のコンセプトだった。

一生:2010年のツアー中は毎日1曲書くことを自分で義務づけていたんですけど、いろいろ考えているうちに、途中で急にまったく曲が書けなくなって。そこから、一回ゼロになった感じですね。“自分が本当に書きたい曲はどういう曲なんだ?”っていう、その原点に返って曲を作っていきました。
■flumpoolって、今作に至るまでの過程においても、シングル作品やライブでひとつひとつ自分たちの音楽の持つ力を証明してきて、その都度ちゃんと結果も出してきたバンドじゃないですか。それでも、まだ伝わりきってないという気持ちが強かった?
隆太:“まだまだ”ってずっと思ってましたね。一度、flumpoolって枠からも外れたかったんです。デビューして約2年やってきて、みんなのなかにあるflumpoolのイメージはさまざまで、まったく確立できていないんだと思います。そういうイメージや先入観から離れて、純粋にいまやりたい音楽を追求していきたいなって。たとえば、これまでは歌の世界に一貫性を持たせなきゃいけないって意識することもあったし、もし迷ってるとしたら、そこに歌で答えを出したいって思ってたんですよね。でもいまは、その1曲に伝えたいことがあれば、それがほかの曲と違ったものでもいいと思えるし、答えが見つからずに迷っていても、それが本当の自分だったらそれでいいって思えるようになったんですよね。