重く辛かっ中学生、高校生の頃の唯一の拠り所は、友達や家族では無くレコード盤で聞く音楽だった。初めて自分で買ったカーペンターズのシングルレコード、イエスタデイワンスモア。カレンとリチャードの顔を切り取りで幾つも並べたジャケットだった。レコード盤に針を乗せると、あのカレンの包み込む様な歌声に味わった事のない安心感を覚え、何度もリピートした。もうあの頃の様にレコード盤で聞く機会は無いけれど、街角やラジオから予期せぬタイミングでこの曲が流れて来ると同じように安心感に包まれ、ほっとする。カーペンターズを手にした事で洋楽にハマり、次に買ったのが、ビートルズのアルバム、アビイロード。横断歩道を4人で歩く印象的なジャケットからレコード盤を取り出し一曲目のカム・トゥゲザーを聞いた時は脳汁が煮えたぎる様な、ショックを受けた。ジョンレノンのしゃがれたヴォーカル、周りの空間の次元が変わった。経験した事のない高揚感で興奮したまま二曲目のサムシング、ジョージの優しい声のバラード。A面のラスト、ポールのアイ・ウォント・ユー。突然の無音にびっくり、こんな終わり方あるの!これにも感動。B面のジョージのバラード、ヒア・カムズ・ザ・サン。2曲目ビコーズ。 続いてポールのユー・ネヴァー・ゲイヴ・ミー・ユア・マネーからジ・エンドまでの8曲が組曲形式でシームレスに流れて来る音楽はまさに圧巻だった。それ以降ビートルズにハマり、好きなレコードを集める事に夢中でいた。今でもその時その時の心情に重なるような音楽を漁るように探している。心の奥底にまで届くような音楽を。本来ならば楽しく過ごせたであろう中学・高校生活を自らの手で白いキャンバスに泥を投げつけ嘯いていた。重く辛かっ時代。音楽だけが救いだった。