「素人さんがパーソナリティーになれる」

明石家さんまプロの発言である。

バカにしてはいないので悪しからず。

すべては、ここに凝縮されている。



かつては発信する側は

プロだけだった世界(業種)



そこにプロ側からすると

「素人」が選考すらなくて

ハードルもなくフリーで

入ってくるという状況。



YouTubeもClubhouseもそう。

ブログもSNSも。

すべての人の発信力が高まり続ける。



ワタクシが書いていることだって素人。

そう、ただの素人の発想に過ぎない。

でも書きたい。書いて可能性を拓きたい。



かつて諦めた人が、もう一度。

自分なんかと遠慮してた人が、立ち上がる。

そんな見えない効果もあるのだから。



むかしは、素人がプロの道に

正式に申し込みプロの関門を潜り抜けて

勝ち抜いて認められたものしか

到達できなかった世界だった。



それが伝統であり、序列であり

玄人と素人の差であった。



玄人と素人。

玄人は素人に対して

このど素人が、という

見下しや偏見を持つ。



専門であることに少しばかり

選民意識を持ってしまうから。

これは仕方のないこと。

実際に選ばれて残ってきた人だから。



どんな世界もその道で

潜り抜けてきた厳しい関門は

その世界でないと得られない

経験ばかりだから。



しかし、時代は玄人の経験を

何らかの形で経験や表現ができる

という発明にたどり着いた。



そして玄人の技術を製品として

買わせることによって業界も

生きながらえることを選んだ。



もう、そこに踏み込まないと

ビジネスとしてあらゆる業界が

成長できなくなったから。

稼げなくなったからである。



そういう流れを経て

スタートラインに立てた感覚で

素人がいろいろできるようになった。



いまは身の回りのあらゆるものを

玄人の英知の結晶が支えている。

支えているというか、そばにある。

すぐそばにあり、自分でできてしまう。



時代は玄人の技術を手に入りやすくして

玄人と素人の境界線をぼやけさせた。



認める認めないではなくて、

流れをつくった素人側に

波が来ている状態で

いまはそのピークなんでしょう。



素人が玄人の武器を手に入れた。

しかしまだ気持ちや使い方は

素人のままのことが多いのも事実。



玄人の領域を侵食する技術を開発した。

当然のごとく、素人がゾロゾロと

グレーゾーンに入ってくる。



そして玄人では盲点になりがちな

アイデアで素人が打開していく業界も

散見されるようになってくる。



それを操ろうと玄人のほうも

素人に近づき利用しようと試みる。



互いが、いい気持ちしないまま

化かし合いのような構図も生まれる。



当然といえば、当然なんです。

モノの見方に新しさが出ない業界は

新しい視点がないと打開できない。



玄人は築き上げたブランドイメージが

残っているから利用しようとたくらむ。

そういう駆け引きに引きずり込まれる。



その玄人の頂点にいる、さんまプロには

自らがのしあがって築いてきた

自信と強烈なプライドがある。



どこかでプロの領域を死守したい

その気持ちと裏腹に

この止められない流れに

仕方がないなという思いも

同居しているはずだ。



だからこそ廃れないために

できるかぎりのノウハウを伝え

育てながら引き際を探っている

・・・のかもしれない(笑)



廃れないというのは

続いていること、だけではない。



プロが大切にしてきた

口では説明しづらい

感覚的で可視化できないような

伝わりづらい部分がある。



ここにプロの矜持が隠れていて、

その大事なことを「はしょって」しまい

伝わっていかないことも

廃れる、ということに当てはまる。



素人が勢力を拡大していくなかで

素人では気づきにくいポイントが

どうしたって目立ってくる。



素人はそこをなんの疑いも無く

普段の思考の延長線上で

土足で押しきろうとしてくる。



玄人はその微妙なニュアンスが

大事なところと気づいている。



その違いをないがしろにされ、

無秩序に荒らされていくのを

看過できなくなってしまう。



だから素人ではダメなんだ。

そういう結論に達してしまう。



このニュアンスのズレが埋まらない。

玄人と素人の溝というか。



ホントはこうなんですけどねぇ・・・

玄人は素人がわかってくれない

その溝の深さに

辟易としてしまうんでしょう。



そして素人は玄人の上から目線や

高圧的な態度がちょっと気にくわない

という感情を持つ。



素人が気づかないニュアンスが

すごく大事であること。



それが次の世代に継承されて

いかなければならないのに

素人には伝わりきらない。

もどかしさが残ったまま。



玄人はこのジレンマに陥る。

やはり玄人、プロでなければ・・・



こうやってさまざまな業界が

その世界観を微妙に崩されていく。

海岸が浸食されるように。



みんなができるような社会は

悪いことではない。

むしろ底上げになる業界だってある。



しかし、素人は玄人に

玄人は素人に対して

お互いに善処する姿勢を

あえて意識すべきだろう。



大事な伝わりづらいニュアンスが

理解してもらえないまま

淘汰されてしまうのかもしれない。

玄人はそこを危惧している。



さんまプロも素人をイジりながら

「厳しさもやさしさだ」と裏書きした

叱咤をし続ける、お笑い怪獣である。



その裏書きされたことをヒントに

自分で気づいて、感覚をつかむもの。

それが大事なニュアンスであり、

矜持なんだろうと。



矜持とは、自信とか自負とか

プライド、誇りという意味合いがある。



さんまプロの矜持は

おそらく説明するのが

すごい難しいことなんだろう。



う~ん。

このニュアンスも

伝わりづらいな(笑)