さあ、M-1について語ろうか(笑)
人は「加速させられる」「火をつけられる」ものだと。
受動的な意味でも、主体的に自分からでも。
出演者はエントリーして勝ち抜いた
ファイナリストだけではない。
ファイナリスト・ファーストでもないのだと。
最大限のチカラを発揮させてあげられる環境を
周囲が採ってあげて、と謳うのはある意味間違っている。
刺激して覚醒うながすような負荷も必要なのである。
まず最初にスイッチを入れたのは松本の
1組目終わったあとのツッコミのスタイルの指摘。
ヘラヘラとやさしいツッコミするスタイルは嫌いだと。
もっと怒りがほとばしるようなスタイルが好きだと。
そこから2組目の、かまいたちにスイッチが入る。
そう、うまいことやろうとするだけではなく
「ほとばしる感」が笑いへのシズル感を生み出した。
その空気が変わった感覚を出場者は受け取って
自分の実力をスマートに出そうとするのではなく
ガムシャラに、エネルギッシュに、覚醒させるように・・・
観客も温まり、楽しんで笑い始める好循環の波・・・
審査員の側も敏感に感じ取っていたような気がする。
もちろん一流のプロが気づかないわけがない。
その波をつかまえてきた歴戦の勇者たちばかりだから。
波を感じて、あえて意識的にボルテージを上げてみる、
その波に自分を漂わせてみようと、預けていたような・・・
例年よりも点数の「うわずり感」があったし、
それぞれの相乗効果を生み出していたような気がする。
どこか「いいとも最終回の大物揃い踏み」と似ている。
触発されてギアが上がる、周囲にも火をつける感じ・・・
全体が笑いの空気をつくり、それぞれが感じ取り
ボルテージを上げていく・・・
そして和牛が敗者復活と同じネタを
後半少しツッコミの数を増やしたアレンジで
うまいことこなした感をみせた・・・
実力者感を出した!・・・ところが、である。
せっかくあげたボルテージをある意味、シュンとさせた「巧さ」
これに違和感をおぼえた上沼が、
二の脚を使う競走馬のように、さらにスイッチを入れた・・・!
うまいことやろうとすんな、と。
もっと勝ちたいんだ、獲りたいんだという
もう一段階上のスイッチを入れて覚醒せよ!と。
初出場の芸人たちが、もてるチカラを発揮できるよう
天才がスイッチを入れ、その天才に触発されるように
もう一人の天才が負けじとスイッチを入れる・・・
これが番組自体のボルテージも上げていって、
近年稀にみる盛り上がりをみせたのではないだろうか。
ともすれば、有馬記念のようなG1馬がズラリではない
G2もしくはG3レベルのハンデ重賞みたいなメンツ、
そういう印象の戦前だったかもしれない。
しかし、天才がスイッチを入れ、それに呼応するように
芸人が加速し、天才が触発されてもう一段階上へと
さらなるスイッチ、ピタゴラスイッチならぬ
「ひたすらスイッチ」を入れ、初出場の芸人がチカラを出す・・・!
みんなでつくっているんだ!と感じられる環境づくり。
これが一番、人をワクワクさせ、能力を引き出すんです。
王者、ミルクボーイが「勝てる波の流れに乗った瞬間」
みてる人も感じ取ったでしょう?これは・・・キタなと。
これは漫才の途中でもう気づいてしまいますよね。
僕はもう、観ている途中、瞬間からゾワゾワっときましたよ(笑)
おそらく上位にいた芸人たちもこれはヤラレタかもと
感じ取っていたかもしれない。
でも負けるかもしれないけど、負けてたまるかと、
最後まで出し切ろうとしていたのも感じ取れた。
そうなんですよ、勝つ人たちって例外なく
こういう波をつかんでいるんですよね。
波があっても乗り切れない人もいるけどね。
そこを分けるのは、礼二か塙かどっちか忘れたけども言ってた、
キャラを淡々とこなすだけでない「人間味そのもの」
人生や仕事と向き合う私たちにも同じこと言えますよね。
キャリア的にまだまだ浅いけど
売れたいという情熱にあふれる、ほとばしるエネルギーが
もう一段上のギアへ上げ、緊張から解放されて
彼らは、そのすべてを出し切れたのかもしれない。
苦汁をなめさせられたのは逆に、
ファイナリスト経験者たちだったのかもしれない。
おおっ、ワタクシもボルテージ上がりすぎました(笑)
書くこともね、こうやって考えすぎずに波に乗る瞬間が
あるんですよ、ワタクシはまだプロではないですけどね(笑)
こういう感じの原則ってどの業界にもあると思いますよ。
必勝パターンであって、誰もが欲しがるんだけど、
たまーにしか、微笑んでくれない感じのチャンス。
「ゾーン」に入るのとはまたちょっと違うんですよ。
あれほどカッコよくないし、どちらかというと
個人のテリトリー感のあるのが「ゾーン」
ゾーンに入ってチカラを発揮するよりも、もっと強烈。
もっとうねりがあって、巻き込んで全体が回り動き始め、
津波のようなエネルギー感を生むものなんです。
あぁ、なげーなげー、なげーわ。
でもほら、ここまで読んじゃった人は
うまいこと波に乗れたんですよ(笑)
2000文字オーバー、ありがとうございました。