「イイカードを引けるということ」
昭和の高度経済成長に合わせた社会のシステムを
しゃぶり倒した世代が年金世代に転じても
高齢者の雇用を促進していこうと整備したことは
本当に大事なことだったのだろうか?
この成長時代に歩を合わせて成功を築いてきた世代は
自分を誇らしく思っているだろう、俺たちが時代を築いたと
平成になると「昭和の型」の幻想を信じる路線で
なんとか切り抜けようとして「イイカード」を引き続けた
その最初の立場にいた、居続けたということだ
上が甘い汁を吸いつくした、大皿の料理で好きなだけとった後
残った食べ残しに文字通りに必死に食らいつきながら
未来を担う世代は上が箸でよけた苦虫も噛み潰して生きる、ただ生きる
勝ち組なる者たちは、上の甘い汁を担う人材を目指すべく
この世に生を受けてから数十年にわたり、資金と時間を投じて
そのテーブルやイスにつくために、無菌室で育てられた
選ばれし者だけがこのテーブルに迎い入れられ
さらなる帝王学をほどこすように、勝ち組の「昭和の型」を
さらに強固にすべく、若く将来を託される無菌室上がりの
ひと握りの若者に対して惜しみなく心血を注いでいく
勝ち組に迎い入れられても、まだ当初は人の子
情けも、やさしさも持っている
自分たちと異なる毛色の人財へのぞんざいな扱いを目の当たりにして
こころが痛む、手を差し伸べたい気持ちもある
しかし、毛色の違う人財が、勝ち組に向ける視線は
思っている以上に冷淡で、悔しさとやるせなさと、あきらめが
入り混じったような虚無感のなかで、日々動かされている
手を差し伸べようものなら、冷たく手をはらわれるだけ
その背中に人工的な温かさをまとった昭和の型の権化たちが近づく
はらわれた手をとり、握りしめてこう言うのだ
「あの人たちに気持ちを寄せて関わってはいけません」と
かつて教育ママに子どもの頃から言われたような口調で諭される
こうやって「昭和の型」は内装は変えずに、イズムを継承して
「平成の型」として外壁のデザインを変えて
ふてぶてしく貫かれてきたのである
「令和の型」はどんなデザインになるのだろうか
なんてな(笑)