学力の試験等においては答えがあり、それを答えさせるために
逆算して問題をつくるものである
しかし一方で社会においては、これという正解がないものが多い
例えばAという事柄があり、そのAを解決する方法はBである
という答えが用意されている場合は、Bですよと答える
ところが社会という大きなハコの中では、一見するとAに見えても
見方を変えれば解決のためにはBは適していない
むしろそれに至る前後を考慮すればCなのではないか?というものもある
このようにとらえ方ひとつで、さまざまな解をもつのが
社会というハコの難しさであり、魅力のひとつでもある
ワタクシのいる社労士という業界も、法令によって定められた範囲の
業務を明記している(1号、2号が事務手続、3号が主に相談業務)
顧客が抱える案件について、自分たちの業務の範囲内で
答えを「あてはめて」提示し、シゴトする
この判断がしやすいのが事務手続関係の業務である
そして3号業務と呼ばれる相談業務についても、おおまかにいえば
このケースではこう、という答えがあらかじめ用意されている場合が多く
それによって一定の正しい答えを提示できているかのように思える
しかし、一定の用意された答えとは何かで学習したものや知識として
業界が推奨する方法のマニュアルをなぞったものが大半であるといえる
でも、顧客それぞれの個別のケースの「振れ幅」を考慮した答えではないのです
多様化する現代の社会において顧客が期待するのは案件に対する
「振れ幅」に対応できる自らが思考した提案ではないだろうか
「振れ幅」というのはそこに介在する人の性質によって対応の強弱や
ニュアンスや距離感、言葉の選び方やタイミングなど
弾力性があり、微妙に調整できる能力が必要になってくる
定型化された知識をベースに、解決のためのスキルとして絶対視して
答えを提案するだけでは根本的に解決しない場合が多い
このスキル、知識のインプット重視で動いている人が大半の業界です
「そういうことを求めてるんじゃないんだよ、もっとちゃんと考えてくれ」
顧客はこころのなかでそう叫んでいるのではないでしょうか?
Aというのもひとつのゾーンでとらえ、振れ幅を考慮して相手が理解できるよう
工夫して伝えながら解決に近づく提案をする能力が求められている
Aを点でとらえて取り出した結論ではなく、Aとなるまで介在した事実や
関係する人々の思いを、その過程を考慮した正答のないことばを
わたしたちが見つけられるかどうか、ここにかかっているのである
Aという事柄が浮き上がって見える「点」でしかみえないかもしれないが
視点をタテからヨコに、ヨコからタテに変えてみれば
実は「点」以外の事柄が、「点」を支えているのだと気づくはずである
そしてその隠れた点とみえる点をつなげて「線」にする視点
これが真に求められていく時代になっています
今日で社労士制度が誕生して50年だそうです
いつの時代も顧客のためにこたえてきた歴史の積み重ねだとは思いますが
顧客に「答えて」いるだけでは社会のために、会社のためにならない
顧客に「応えて」いかなければならない次のステージへ
新たな時代に向かうために「人を大切にする」本当の意味を
次の50年に向かって体現していく
いままさに、その転換期にあるのだと深く感じている次第です