暑いねぇ。昨日の夜から寝苦しくて、でも朝方になれば涼しくなるサ、と思ってたんだけど、全くその気配なし。一日中この暑さはなんだ?もうすっかり夏なんだねぇ。夕方には夕立もパラリと通り過ぎていったよ。お天気雨だったけどね。
さて昨日に引き続きというか、映画の話から始めよう。と言ってももうすっかり出不精になっちゃっているから、ほとんどがテレビで放映されたヤツね。
昨夜はNHK で「ドラムライン」をやっていたね。マーチングバンドの物語で、在り来たりなストーリーなんだけど、不覚にも感動してしまった。バンドモノ、音楽モノには弱いんだよなぁ。実を言うと「スイング・ガールズ」でもほろっと来ちゃったクチなんだ。勢い余ってDVDまで買っちゃったもの。
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私は以前から何度かお話ししているように、もともとドラムをメインパートにしていて、かつてエレクラで何度かスタジオに入ってバンド形式で演奏したことがあるんだけど、その時もギターじゃなくてドラムを担当した。一番長くやっていた楽器だから、少々ブランクがあってもすぐ勘が戻せるんだよね。ギターだと練習しないといけないけど、ドラムだったら、やっつけでも何とかなる。そのわりに自分で作った曲なのに叩けないなんてこともあるけどね。
今でも、私は手持ちぶさたな時にはスティックを振っている。手の届く所にはいつもスティックを置いてある。こんな感じでね。
ギターを抱えるよりも、今はスティックを握っている時間の方が長いかな。
でも、私は全然上手いドラマーではなかった。もともと練習嫌いだし、格好ばっかりで、グルーブとかもあんまりセンス無かったし。セットは一応持っていて、無駄なぐらいシンバル並べたり、セット自体はとにかくデカかったのよ。ギター製作工場に勤めている時に、仕事場にスタジオがあったんだけど、そこに置いている時なんか部屋の3分の1は私のセットが占めていたぐらいだからね。
ドラムのトレーニングの初歩に、パラディドルというのがあって、シングル打ち、ダブル打ちを組み合わせて、ひとつのルーディメントを繰り返し練習するんだけど、それが全然上手くならなくてね。すぐ飽きて辞めちゃった。とりあえず8ビートが叩ければそれでイイや、って感じ。まぁ、それだけではいけないんだけどね。
そのパラディドルを多彩に組み合わせているのが、マーチングドラム。と言うか、もともとマーチングドラムのメソッドだったんだけどね。それをキットに応用したのがドラムトレーニングになっているだけなんだけど。
私は今までマーチング・ドリルみたいなものには縁がなくて、せいぜい学校の吹奏楽を見たぐらい。だからこの「ドラムライン」を見た時はびっくりしたね。イメージとしてはスネアお腹に抱えて(と言うか吊り下げて)パラパラやるだけだろ?っていう感じだったんだけど、全然違うんだね。身体全体を使って踊りながらスネアを演奏してんだね。イメージ的には韓国のサムルノリに近い。
しかもその手数が半端じゃないんだよね。パラパラというよりコロコロ。跳ねる、弾ける、流れていくっていう感じがしたね。吹き物と合奏している時にはしっかりとしたビートを打っているし、打楽器でのコンビネーションではもうポリリズムの応酬。それも魅せるんだよ。映画の中で何度も音楽はひとつ、バンドはひとつ、ってセリフが出てくるんだけど、それも頷ける。
何よりドラムソロは、たぶんドラムを愛する人なら誰でもが魅了されると思うよ。私の認識では、ドラムは叩くものだったんだよね。でも、初めてそれが間違いだってことに気がついた。ドラムは奏でるものなんだよ。楽譜にすると点の羅列なんだけど、それが流れるように、まるでメロディを歌っているように聞こえるんだよ。それが何ともいえず耳に刺激的だったんだ。
映画的にもハイライトの打楽器隊のバトルシーンでは、急に映像がキレイになって、スティックが振られる様がもの凄くシャープに見えるんだよね。それがまたかっこいいんだ。
音楽もの、バンドものって、勝ち負けのわかりにくいものだから、勝負と言ってもおざなりなんだけど、この映画では何となく頷ける気がしたんだ。闘志っていうのかな、それが上手く表現されていたような気がするんだ。友情シーンをよりクリアに見せるために、演奏対決シーンは重要なんだけど、挑発の仕方とか、やっぱりこっちの方がスゲェ、っていうのがわかりやすかったんだ。私がドラムをやっていたせいかもしれないけど。
昔、丸亀にある猪熊弦一郎美術館 で、ブルンジから来た太鼓隊の演奏を見たんだ。民族楽器の太鼓を頭に載せて登場してくるんだけど、鳴るのは太鼓の音だけ。本当にプリミティブなリズムの演舞なんだよ。合奏の他に一人一人のソロなんかもあって、本当にそれは圧巻だった。日本の太鼓も迫力あるけど、どう言っていいのか、楽しむ感じが突き抜けていて感動的なんだよね。和太鼓はどうしても侘び寂び背負っちゃってるから、何となく楽しいって感じじゃないんだよ。物を叩くって単純で、でも楽しいものじゃない?それが本当に感じられたのはブルンジの太鼓隊の方だったなぁ。
ドラムをやっている頃から、やっぱりドラム・ソロには興味があって、曲中に挿入されるJAZZ形式のソロより、ドラマー一人が舞台に立って(座って?)やるソロの方が好きだった。ただ、やっぱりそれはテクニックの羅列になるから、聞く分にはおもしろくても、見るのはどうもいまいちだね。
メロディー楽器のソロと違うのは、やっぱり音を聞かせるよりも熱さで盛り上げていくところ。もの凄くフィジカルに攻める感じかな。それを私は意外な所で気がついたんだ。今はもう行かなくなったけど、昔は毎年7月になると丸亀の花火大会があって、それにいつも会場まで行ってかぶりつきで見ていたんだ。その時に思ったのサ。打ち上げ花火のタイミングって、ドラムソロに似ているなぁ、って。
最初は小さく、間を空けてどん・・・どん・・・って感じで上がっていくのが、そのうち間隔が詰まってきて、最後には続けざまに乱れ打ちになるじゃない。まさしくドラムソロの構成も一緒なんだ。特にハードロック系のドラマーのソロはそう。最後の最後で大玉を打ち上げるけど、あれはドラムで言うと銅鑼になるのかな(笑)。花火に触発されたのか、偶然の一致かわからないけど、まぁどちらも一発、一打の積み重ねだからね。
さしずめマーチング・ドラムは手持ち花火なのかな?ひとつひとつはショボイんだけど、人数集めて一斉にやると、結構キレイじゃない。中にはネズミ花火投げるヤツとか、ロケット花火を投げるヤツもいるし、口にくわえて飛び回るヤツもいる。そういうのが渾然一体となって、盛り上がるのが手持ち花火のおもしろさだからね。「ドラムライン」を見ると、この例えをよく分かってもらえるんじゃないかな?
最後に、元ドラマーらしく、ドラマーメインのCDを紹介しよう。
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これは伝説の名ドラマーBuddy Richのトリビュート・アルバムで、今を代表する有名ドラマーが多数参加しているんだ。JAZZの世界のみならず、ROCK界からも何名か参加しているから、バラエティ豊かなドラミングが聴ける。私の好きなビッグバンド形式だから、吹き物も堪能できるしね。
この中で一番私のお気に入りはMatt Sorum。当時GUNS'N ROSESのドラマー。GUNSの時からドラム上手いなぁ、とか思っていたんだけど、ノリはそのままスイングしているのがおもしろい。私がしばらくドラムを叩くと、いつの間にかこの曲と同じくらい跳ね出すんだ。彼ほど手数がしっかりしているワケじゃないから、ダレる一歩手前に聞こえるんだけどね。
ドラムは花火みたいなもの。パッと咲いて、パッと散る。なんて、夏の到来に引っかけてみました。お粗末。
それでは今日はこの辺で、ご機嫌よう。