気象庁、海底水圧計データ活用せず
2012・5/13付 岩手日報より
東京大地震研究所の海底水圧計は、本県に大津波が向っていることを
示していた。 津波は水深が浅くなるほど高くなる。 水深1千㍍を超える
概要で5㍍の津波を観測した時点で、もはや逃げるしかないことは明白だった。
なぜ、住民にリアルタイムで危機を知らせることができなかったのか。
東日本大震災で、東京大地震研究所が釜石沖に設置した海底水圧計2機
(TM1、TM2)が、地震発生約15分後に大きな海面変動を捉えていたこと
が分かった。巨大津波の襲来を予告する貴重なデータだったが、

気象庁はこれを活用せず、現実を
大きく下回る津波の予想高さを襲来
直前まで維持。
結果的に「津波は防潮堤を越えない」
などと誤認し、逃げ遅れた人が多発した。
関係者からは、国内外の機関と連携
した津波予測の高度化を求める声が
上がっている。
釜石沖の海底水圧計は、午後2時46分
の地震発生直後からじわじわと海面が
上昇する様子を捉え、沖側の「TM1」が
午後3時、陸側の「TM2」が同3時4分
にそれぞれ高さ約5mの急激な海面上昇を記録した。
津波は水深が浅くなるほど高さを増すため、水深1千㍍を超す沖合で5mの
海面変動を記録したことは、海岸に10mを超す大津波が押し寄せる可能性
があることを示していた。
仙台沖約600キロに 米国海洋大気局(NOAA)が設置した海底水圧計「DAR
T」も、地震の27分後に観測史上最大の水面変動2,15mを観測したが、
気象庁はこのデータも活用していなかった。
震災時に釜石市の防災課長を務めていた山田守同市水道事業所長は、
「もし沖合の津波観測情報が市民に早く伝わっていれば、逃げて助かる人
が増えたかもしれない。せっかくのシステムをきちんと活用し、危機感を共
有できる仕組みが必要だ」と訴える。
気象庁が海底水圧計のデータを活用しなかったことについては、
すでに伝えられていました。
大震災から1年2ヶ月たって、やっと新聞で報道されるようになったようです。
今さら責任を追及しても、失われた命は戻ってきませんが、
これは「想定外」の避けることができない「運命」ではなかったと言えます。