[ 真 ]
蝶々は本州から奄美諸島へ向かうらしい。
なぜそんな遠くを移動するのだろう。何に会いたいのか。何にぶつかりたいのか。何にほめられたいのか。
本能的なものか。きっと、でも、何かを求めている。
そんなことを考えながら弘前城のお堀の横にいた。しだれざくらは終わっていた。
おれは桜を思い出しながら「さくら」という詩を考えていた。
桜のトンネル そんな出足を考えた。ダサいだろうか。そこには少女がいる。
なぜか泣いている。どうしたんだろう。ふられたのだろうか。それとも家庭内のどうしようもない問題。
おれは少女に話しかける。
「コーヒー飲まない?」
超古いトーク。
「飲む」
何だろう、なんかわからない。その子についていく。
ジャズ喫茶に入る。ソングフオーマイフアーザーが流れている。
「私これすきなの」