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辻褄合わせのはずだったPRIDE参戦。気がつけば小川はもう一度そのリングへ向かっていた。

ヒョードル戦で返上したはずの「最強」。もはやPRIDEのリングで小川が証明するものは何もないと思われていた。上がる理由もない。

12月31日 
PRIDE男祭り2005

小川はオファーを受けた。実際、上がる理由ができたからだ。

「橋本真也を世間に届けたい。」

大晦日のゴールデンタイム生中継、まさかお茶の間で、そしてPRIDEのホームグラウンドで爆勝宣言が鳴り響くとは!額に真っ白の鉢巻き、目にはうっすら涙を浮かべ、これからリングへ上がる男のそれとは思えない表情の小川。OHのコールが交錯する。

ハッシモト‼︎
オッガッワ‼︎

まるで会場のみならずテレビ越しに観ている者、全ての感情が爆発したかのようだ。そして小川の胸中は一体?

「橋本さん…」

1999年1.4事変

ニブイ音が何度も聞こえた。顔面へ拳が叩きつけられる。頭部が蹴り上げられる。ほんの数分足らずで破壊王・橋本真也はエプロンと花道の間に横たわって動く気配がない。

プロレスのセオリーを超えた小川の非情な攻めによって新日本の強さの象徴は地に堕ちた。代わりに小川が「最強」に成った。

と同時に小川は自由を失う。猪木イズムの名の下に権力闘争の駒として、事変以降加速度的に影響力を増したアントニオ猪木、新日本の覇権を握る長州力、その後復活してきた橋本真也の歪な闘争に呑み込まれていく。

橋本は地獄を味わったが、一年あまり続く抗争を通じて小川と運命的な何かを感じとり(かなり一方的に)、新日本を飛び出してからも何かと小川を巻き込んでいく。白覆面、ゼロワン旗揚げ戦乱入、ノア対抗戦…そしてOH砲結成と。

確かに小川は自由を失ったが本当にそうだろうか?
相手が橋本でよかった。

1.4事変以降、ギョロ目の小川から放たれるギラギラとした眼光や張り詰めた緊張感は徐々に失われていったが、橋本と過ごした時の実に小川は楽しそうだった。

そしてプロレスラーの持つ業もまざまざと見せつけられていた。試合に負けて勝負に勝つ…小川は何度もそれを体感した。(試合に勝って勝負に負ける側で)おそらく小川はこう思っていただろう。「何で負けっぱなしの人間の方がどんどん声援を集めていくんだ⁉︎」

大晦日の吉田秀彦戦、ついに小川がそれを実践する時が来た。

負けてなお、ハッスル!


だが、橋本さんはもういない。

オイオイオイ、「お前の方が絶対早死にする!」
って言ってたでしょ……



続く