漫画は妥協の産物.........だと思ったりする。 | 帯ひろ志の漫画放浪記Powered by Ameba

漫画は妥協の産物.........だと思ったりする。

さて、今回は漫画を職業としている身として、ちょっとぶっちゃけて見ようと思う。
漫画家を目指している方にはもしかしたら意外な話しかも。

漫画を長く描いてきて、常々思うのが、あーっ、納得するまで漫画を描いて見たい。
と、言うことである。
つまり、誤解を恐れず言うと、とことんまでネームにしろ作画にしろ100%の力を出し切った
事が僕はない。
恐らく、多くの漫画家はそうであると思う。

何故か?
それはやはり〆切りがあるからだ。
ネームも作画もとことん追求して、描くのは夢であるが、正直〆切りがあるからこそ
作品が成立しているとも思っている。
また、練りに練ったネームも良いが、時には勢いで描いたネームが生き生きしている事も
あるので、場合によりけりなんだろうな。

作画もしかり、思う存分描き込んだり、アングルや構図を考え抜いた物を描いて
見たいとは思うが、描き込みは時として見にくい画面を生み出す事にも成りかねない。

また、職業として考えるとコストパフォーマンスを考えなければ成らないだろう。
だからといって、手抜きが良いとはもちろん思わない。
与えられた時間の中で、最大限のパフォーマンスを発揮しようと努力はしている。

漫画家志望者に関して言うと、これもまた誤解を生みそうだけど、クオリティ追求よりは
さっさと完成させた方が得策であると思っている。
何故なら、数を描いて気付く、描かなきゃ分からない世界があるのだ。
そして、場数を踏めば短い時間でもクオリティを上げる術は身に付いてくるものだから。

一番やっては行けない事は、描くのを途中で辞めてしまう事。
1ページに時間が掛かり過ぎているうちに描くのが詰んなくなったり、飽きてしまったりすると
思うんだ。
鉄は熱いうちに打てでは無いが、作品を描き上げるには、ある種のエネルギーが必要だ。
だから、そのエネルギーが燃えいる間に作品を描き上げてしまうと言うのは理にかなっているとおもう。
だから、経験も無いうちに長編漫画なんかには間違っても手を出さないように(笑)
まず、短編を描いて欲しい。
思っているストーリーはそんな短編では収まりがつかないスケールなんだと思っても、それは多分勘違い。
纏める力が無いからモヤモヤとしたイメージを作り、大長編の夢を見ているのだ。
プロを目指すなら戦略は必要。
まずは短編だ。

長くなったので、戦略についてはまた機会をみて書こうと思う。