上達しないアシスタント。 | 帯ひろ志の漫画放浪記Powered by Ameba

上達しないアシスタント。

ある作品の連載中、編集部からアシスタント希望の新人がいるのだが使って見てくれないかと相談を受けた。
こちらも人不足だったので、喜んで迎え入れた。

やる気はあるようで、短期間にバリバリ描いている様なので、こちらも嬉しくなった。
ただ、問題はあまり上手くないのだ........と言うか、ここまで下手かと言う感じ(^_^;
しかし、そんなのは当たり前。
最初から上手い人間など居ないのだ。
編集部も、彼は目一杯頑張っている様なんですが、これ以上一人では上達出来ない様なんです。
教えてやって下さいと念を押されていたのだ。

バリバリ描くだけあって、態度はいたって真面目。
ただ、ちょっと頑固なところがあり、人の話をあまり聞かないと言う面があったが、性格は良好だったので
モノになるまで教えて見ようと、指導してみた。

1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月..............。
むむっ、焦る僕。
何故だ、上達の跡がほとんど見られないのだ。
正直こんなことは始めてで、いくらなんでもこれだけ数を描かせて上手くならないなんて想像もしていなかったのである。

例えばこんな感じ。
電話のカットが欲しかったので、彼に描かせて見る事にした。
しかし、ゼロからだとどんなものを描いてしまうか心配だったので、軽く「あたり」を描いて渡したのだが、
下絵出来ましたと見せられたのは、辺りからはかけ離れたサイズの電話機だったのだ。
もちろん歪んでいるし(^_^;
さすがに目が点になった。
僕が渡した辺りを清書すれば良い程度にまで描いて渡したのに、こんなになってしまうなんて。
オマケに何度も描き直した様で、原稿は消し跡で真っ黒。

このままトーン貼りとベタ、消しゴムだけしか出来ないアシスタントではさすがに雇っておけません。
原因は何なのか、僕は自分の作業も放ったらかして彼の観察を始めてしまいました。

すると、1つ他の皆と決定的に違うところを見つけたのです。
それは、物凄く姿勢が悪いと言うことろでした。
身体を思いっ切り左に傾け、原稿に左頬がつくんじゃ無いかと思うほどに斜めになって絵を描いているのです。
試しに僕も彼と同じ様なポーズで絵を描いて見ました。

思いっ切り歪んでます。

とてもまともな絵が描ける姿勢では無かったのです。
原因が分りました。彼の絵がちっとも上達しない理由が!!

それからはもう姿勢矯正です。
ちょっと目を放すと直ぐに身体が傾いてしまいます。
他のアシスタントさんとも協力して彼の姿勢制御に挑んだのです。

それから数週間後。

彼はアシスタントを辞めてしまいましたo(TωT )

姿勢制御は彼にはきつかったのでしょうか。
視力の関係もあるかも知れないので、眼鏡の着用も進めたのですが残念です。
しかし、歪んでいると分かっているのにそのまま描かせる訳にもいかないし。
難しいものです。
人を使うと言う事は。

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