テレビ出演 | 帯ひろ志の漫画放浪記Powered by Ameba

テレビ出演

ゴエモンを描いている時、テレビ局から取材の申し込みがあった。
テレビ局は今何かと問題のNHKだった。
とは言っても、取材は番組制作会社。
お電話を頂き、事前にディレクターの方が打ち合わせに自宅まで来られました。
内容は、僕がメインではなく、僕のところに居た元アシスタント君の漫画道を追っていると言うもの。
つまり、漫画家志望者のA君が、夢を描き奮闘する姿を紹介する内容だったのだ。

それで、取材中に僕のところに居たと言う話が出て、その師匠筋の僕を取材に来たと言う訳だ。
ディレクターの方にも正直に話したが、A君はウチでそんなに長く修行した訳ではない。
実は使えなくてクビにしたのだ(^_^;

最初、知り合いから紹介された時は、絵のセンスも良く、素直そうなので磨けばモノになると思い、随分目をかけたと記憶している。
ちょっと気掛かりだったのは当時彼はまだ大学生だったのだ。

だから、授業があると言えば睡眠時間などを考慮し、こちらの作業に関係なく帰ってもらっていた。
もっとも、まだ満足に線の1本も引けなかったので、ウチにいる殆どの時間は練習あるのみだったけど。

雇いはじめて程なく期待は崩れ去った(^_^;
僕や他のアシさんがせっせと仕事をしている横で、大あくびを連発
練習は全く進まない。
注意すると返事だけはいい。

学校の話をすると、帰ったはいいが、面倒臭くて学校に行って居ないと言う。
びっくりした。
親御さんは大枚はたいて学校に通わせて居るのだろうに。
さらに聞くと、単位もほとんど取っていないと言う。
もう、すでに4年で卒業するのは不可能な単位の取得率だったのだ。

それを聞き、僕は彼をクビにすることに決めた。
ちゃんと学校に行けと。 
ウチにいても、ボーッとしてやる気は感じられず、本当に何をしに来ていたのか。

ディレクターさんから聞いたのは、ウチの練習の思い出を「なんでオレがこんなことしなきゃならないんだ」と言っていたと。
漫画家に成りたいんじゃ無いのかよ(^_^;

番組放送には「A君は怠け者」の下りは話しませんでした(^_^;
番組収録後、ディレクターさんから電話がありました。
お礼の言葉と、質問でした。

あの、A君、絵は上手いと思うんですが、プロに成れないのは何でですか?
プロに成れる人と、プロに成れない人の差は何でしょうと............。

正直、ハッキリした事は分りません。
ただ、どんな状態だろうと、楽しんで漫画を描きつづけられる事じゃ無いでしょうか。
簡単そうだけど、没が出ている時にも楽しんで描くと言うのは、結構大変なんですよ。

そんな風にお答えしたと記憶しています。


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