漫画家入門 | 帯ひろ志の漫画放浪記Powered by Ameba

漫画家入門

初めて買った漫画家入門書は、親に買って貰った、「あさのりじ著、漫画家入門」だった。
実は、どんな漫画を描かれておられるか知らなかったのだが、著書に「光速エスパー」と書いてあった。
「光速エスパー」はテレビドラマで放送され、僕も大好きな番組だったので、毎週欠かさず見ていたものだった。
へーっ、この人が作者なんだーと、思ったのだが、後に電器店店頭に飾られていた「光速エスパー」の人形が
あさのりじ版から、松本零士版の人形に切り替わったので、子供の僕は見事に混乱した(笑)
大人の事情なんだろんけど、そんな事に気がつくのはもっと後の話だ。

脱線してしまったので、話をもどそう。
この本で、大体漫画を描く過程が掴めた僕は、早速実行に移す。
もう、文房具屋のおばちゃんに、トレぺをケント紙とは言わせない!!
インクも、製図用インクや墨汁を使えばいいと解った。

謎だった部分が氷解し、僕は早速初投稿作にとりかかった。
しかし、まだネームは作らないし、原稿用紙に思いつくままにギャグを描き、描き倒していった。
案の定、ページが足りなくなり尻切れトンボになってしまったが、強引に終わらせた。
まるで逆ギレの様な終わり方(苦笑)
その、描き終わった15ページの作品は、集英社の手塚賞に送った。
まだ当時は赤塚賞が無かったので、ストーリー漫画もギャグ漫画も手塚賞で選考していたのだ。

審査発表のジャンプ発売日が来た。
冷静に考えれば、入賞する事など微塵も無い事は分る筈だが、そこは小学生、おおいに期待しているのであった(笑)
結果は当然の如く、なんにも擦りもしていない。
そりゃ、初めてペン入れして完成させた漫画が、出来が良い訳が無い。
悪いところも自分で分っているのに、直しもしないで出したのだから。

けど、良かったと思うところはあった。
それは、幾ら頭の中で素晴らしい作品を描いても、実際に形にすると言うことは、全く別物だと分った事だ。

そして、そんな時に古本屋で衝撃的な一冊の本に出会った。
石森章太郎先生の続・マンガ家入門だった。
ダメなりにも1本マンガを描いた後だったので、この入門書に書いてあるある事が、頭にどんどん入ってくる。
そうか、なるほど、ふむふむ!
特に石森先生のマンガ、「竜神沼」を使った解説にマンガの奥深さを知り、益々マンガ描きにのめり込んで行くのであった。