ホットホリディでウマ娘な

競馬民からすれば

競走馬の血統なんて

ただのカタカナの羅列に過ぎないだろうし

小生とて、血統とは所詮

競走馬の『背景』に過ぎず

素質を見極める上での、単なる1つの

ファクターである、と

考えてるわけだ


ノーザンファーム勝己社長の言葉を

勝手に引用するなら

競走馬は氏(血統)よりも育ち(育成)である

これこそ競走馬の基本だと

小生も思っていて

凡そ混雑種が駆逐されつつある

現代競馬において

現役競走馬は皆、良血馬であるというのが

小生の根幹的な競馬観である


が、フィッツラック繁殖説

所謂とこの、奇跡の血量理論を筆頭に

人為的、作為的に考案された配合の中には

競走馬の能力を

最大限に引き出させるケースも、ある


血の活性化


血の融和性


ディープインパクトが

交配した繁殖牝馬の特性を最大限に引き出し

サンデーサイレンスを上回る

Average Earnings Index を叩き出し

長くリーディングサイアーに

君臨し続けたのは、記憶に新しいとこだ


優れた血脈は


秀でた競走馬を、創造するのも確かである


今年の皐月賞は例年になく

群雄割拠と、謳われていたわけだが

勝ったのはキタサンブラック産駒の

ソールオリエンス、だった

とてつもない末脚を発揮しての優勝で

俄然、父キタサンブラックの

種牡馬としての評価は一層高まった


が、異端的ではあるが

皐月賞馬の血統背景で注目すべきとこは

その父馬ではなく

母の父、つまりはBMSの

Motivator である、と小生は思う







Motivator(モティヴェーター)は

2002年に生まれた鹿毛の牡馬


父モンジューは、1999年に

仏愛ダービーと凱旋門賞に勝った活躍馬で

その初年度産駒にあたる


現役時代は

ダービーステークス(英ダービー)で

ドバウィを破り

無敗のまま、ダービー制覇を成し遂げて

21世紀黎明期を代表する

名馬の1頭に数えられるわけだが

ダービーステークスの後

出走したエクリプスSで、コロっと

負けてしまい

以降は未勝利のまま現役引退


引退後は、エリザベス女王が所有する

ノーフォークはサンドリンガム王立牧場で

種牡馬として繁養


母系を遡ると高祖母は名牝として名高い

Lady Be Good で

日本で馴染みのあるグッバイヘイローや

その仔の、キングヘイロー

同族のラシアンルーブル、更には

セイウンスカイの父父であり

シンコウラブリイの母父ポッセなどを輩出

世界に眼を向ければ、ジルザル、マイニング

ポリッシュプレシデントなど

各国で、直系子孫が活躍していて

そのブラックタイプは

1枚の紙では到底

書き出すことができないほど


更に配合として特記すべき点は

エタン、タームレットによる

4×4半兄妹クロスが成立してることで

この近親配合によって

優れたスピード性能を発揮した可能性も


輝かしい牝系な上に

無敗でダービーステークスを圧勝、と

その謳い文句が故に

繁養当初は関係者の期待を一身に集めた


が、押し寄せた繁殖牝馬の"質"の割には

散発的に重賞馬を輩出する程度で、低迷し

2010年には腱を痛め、一時は種牡馬として

繁養不可能を危惧される事態に直面

幸いにも腱は癒え、種牡馬繁養を再開するも

産駒成績は一向に上がらなかった


しかし、2012年に父モンジューが

敗血症による合併疾患のため

16歳で早逝すると、その直後に

3世代目の産駒の中からリダシーナが

オペラ賞を優勝し、産駒による

初のG I 制覇を成し遂げ

更には翌年、3歳牝馬のトレヴが

無敗で凱旋門賞を優勝し

モティヴェーターの種牡馬としての評価は

一変することになる


産駒の傾向としては

スピードに秀でたタイプも、スタミナに

特化したタイプも輩出してるわけだが

特徴としては、牝馬に活躍馬が目立ち

牡馬は、騸馬去勢されたタイプに

活躍馬が偏ってる印象

サイアーラインの継承は、就中

不透明な状況でもある


牝馬に活躍馬が目立つが故に

当然ながらBMS として注目が集まるのは

自然のことであり

現に日本では、母父モティヴェーターは

先述のソールオリエンス

ムムタズマハルの末裔タイトルホルダー

G I を制覇していて

モティヴェーター自身

そのファミリーラインは8号族な所以に

日本の高速馬場にも

巧く適応してるようである


ディープインパクト、サンデーサイレンス

そしてノーザンテースト

この3頭の血で飽和してる日本の競馬界は

近年、胆振や日高の馬産家を中心に

新たな血脈を手に入れる輸入事業が盛んで

3頭の血を持たない、と同じく

優秀な競走成績を挙げた牝馬の獲得に

躍起になってるわけだが

モティヴェーターは

祖父サドラーズウェルズを介してのみ

ヘイルトゥリーズンの血を

5代前に保有するだけであり

ノーザンダンサーも、また

サドラーズウェルズを介し、3代前に

その馬名を記すのみ


ソールオリエンス

リファール5×5を保有するが

このインブリードは

父キタサンブラックの血脈内だけで成立する

近親配合なので、実質は

ほぼアウトブリードが成立していて

タイトルホルダーに関しては

ノーザンダンサー5×5は母メーヴェの

血脈内で収まり

ミスタープロスペクターは

インブリードではあるものの

等身的には4S×5M、血量9.38%に

留まってるわけだ


BMS にモティヴェーターを仰ぐ牝馬は

欧州には数多、繁養されていて

トレヴの全妹も昨年末のアルカナ馬市で

310,000 € で落札され

今春から日本で

繁養されるというアナウンスも

聞こえてきたのは、記憶に新しいとこ


モティヴェーターのBMS

つまりはブルードメアサイアーとしての

可能性は、実に明るい


その可能性は


まだ、始まったばかりである