甲状腺癌に対する放射性ヨード内用療法

(H大学病院の場合)


以下の詳細を別途書いています

目次はこちら ~目次~ヨード治療情報


★どんな治療?

放射性ヨードが入ったカプセルを内服し、
放射線で甲状腺組織や甲状腺がんの細胞を破壊する治療です。


★効果は?

①甲状腺全摘の手術でも取りきれなかった甲状腺組織を
放射線で破壊することにより、
今後癌が再発する可能性を下げます。


②甲状腺癌の再発や転移(リンパ節・肺・骨など)を治療します。


★どのように行う?

①必要に応じてPET検査、頚部超音波検査、採血など行います。
体調を調べるための検査や、現在の腫瘍の状態(場所・活動性など)
を調べるための検査です。


②ヨード制限(ヨードの摂取を制限すること)
治療前の3週間はヨード制限が必要です。
より多くの放射性ヨードを取り込ませるために、
体内のヨードをできるだけ少なくして空席を作っておくのです。
最初の2週間は家庭で行います。
治療の1週間前からは厳しいヨード制限が必要となるために
原則として入院します。
入院後は許可されたもの以外は口にできません。
化粧品や普段使用している薬などにもヨードが含まれているものがありますので

使用していいかどうか医師が確認します。
また、体内に残っているヨードを尿から排泄するために利尿剤を服用します。


③放射性ヨードをしっかりと甲状腺や甲状腺癌の細胞に取り込ませるために
甲状腺刺激ホルモンを上げる処置をします。
以下の2通りのやり方があり病態によりとちらの方法を用いるか選択します。


◎ヨード内服の3週間前から甲状腺ホルモン剤(チラーヂン)の
内服を中止します。この場合は体内の甲状腺ホルモンが足りなくなるため、
甲状腺機能低下症状(倦怠感、むくみ、食欲不振、吐き気、便秘、悪寒、不眠など)
が、出てくることがあります。

(私の場合こちらでした)


×ヨード内服の3週間前から、甲状腺細胞を刺激するホルモン(タイロゲン)を
でん部に筋肉注射します。軽度ですが吐き気や頭痛などの副作用が出る可能性があります。


★治療当日~開放まで(3日~5日)
実際の治療は、放射性ヨードのカプセルを服用するだけです。
普通の薬と同じようなカプセルで1回の入院期間中に治療当日に一度だけ
1~5個程度服用していただきます。
内服後3~5日程度は病室から出ることはできません。


★開放後の検査
病室から出たあと、放射性ヨードがどこにどの程度取り込まれたか
確認するための画像を撮ります(ヨードシンチ)
この画像を見て、今後の治療の効果をある程度予測することが出来ます。


★入院期間
必要な入院期間はおよそ2週間です。
カプセルを服用するまでの準備に1週間。
病室から出れない期間が3~5日間
病室から開放されて退院するまでが3~4日間の予定です。


★副作用はないのでしょうか?

①放射線ヨードにより、以下のような症状が出ることがあります。
 ・唾液腺炎をおこし、耳の前やあごのしたなどに
  腫れや痛みが出ることがあります。
  この場合基本的には冷やして症状を和らげます。
  ほとんどは退院する頃には治ります。

 ・100人に1人の割合で、唾液の分泌低下を起こすことがあります。
  この症状の出現を予測することは困難です。
 ・味覚の低下が起こることがああります。
  治るのに1か月以上かかることがありますが、必ず治ります。


②タイロゲンを使用する場合は、

軽度ですが吐き気や頭痛の副作用が出る可能性があります。


③妊娠している方はこの治療ができません。
ただし治療した後に妊娠・出産しても異常出産が発生する確率は
自然発生率と変わらないという報告があります。


④髪の毛が抜けたりするようなことはありません。


★治療は1回ですむのでしょうか?
放射性ヨードが頚部だけに取り込まれているよう場合は
たいてい1回の治療で済みます。
しかし頚部の他にも病巣がある場合は何回か追加治療を必要とします。
治療方針は、放射性ヨードの取り込みをみる画像検査(ヨードシンチ)に加えて
入院中の採血結果や他の画像検査を参考にして決定します。

退院時に画像や今後の方針について担当の医師より説明があります。


★入院時に用意するもの
放射性ヨードのカプセルを内服してから開放までの期間に使用して
放射能がついたものはすべて捨てることになります。
体から出る唾液・汗・尿などから汚染します。
その間に使用するため捨ててもいよいもので3~5日分ご用意ください。


病院によっては治療期間や方針が違う場合があります。

あくまでも参考としての情報提供とご了承ください。