またまた、ご無沙汰、申し訳ございません。

 

ワッシュさんの「映画オールタイムベストテン:2017」(ブログ→男の魂に火をつけろ!) に参加します。

 

これはやはり選ぶのが難しかった。

 

いっとき、好きな映画は?と言われれば、「天井桟敷とマーズアタック!」と答えてた。

まあ、名作から迷作?まで、あらゆる方向の映画に、あらゆる方向の好きがある。自信をもって、私は片付けられない女であり、選べない女なのだ。

そこで、寝る前にリピートで流す、おやすみ映画を中心に選んでみたら、恋愛映画ベストになってしまった。

 

めたぼっちは、愛についての夢をみるのだ…

 

(結果発表は、こちら。「映画オールタイムベストテン2017:結果発表(ブログ→男の魂に火をつけろ!)」)

 

1・『天井桟敷の人々 』(製作年1945/日本公開年1952、マルセル・カルネ監督)※(以下カッコ内同)

 

 

 

詩人であるジャック・プレヴェールの脚本も素晴らしく、私の思う映画、私の思う芸術(大袈裟だけど)、私の思う愛(キャ、恥かし)を教えてくれた、かな。なんか映画のすべてがある。裸を売り物にするガランス(アルレッティ)は、パントマイ役者のバチスト(ジャン=ルイ・バロー)の永遠のミューズ。だが、奥さんのナタリー(マリア・カザレス)は揺るがない。ガランスは愛すれど、誰のものにもならない。

 

2・『ベニスに死す』(1971、ルキノ・ヴィスコンティ監督)

 

 

ベニスに静養に訪れた老作曲家(ダーク・ボガード)は、貴族の美少年タジオ(ビョルン・アンドレセン)に惚れ、ペストの蔓延もかえりみず、ひたすら彼を追い求める。トーマス・マンの原作も良いけれど、この映画の醜も含めた美しさは別格。

 

 

3・『ロング・グッドバイ』(1973/1974、ローバト・アルトマン監督)

 

 

 

冒頭、猫のために深夜、エリオット・グールドのマーロウが、カレー印のネコ缶を買いにいくところから好き過ぎて、VHSが擦り切れた。おやすみ映画の習慣が始まったのが、このビデオを手に入れてから。最初はアルトマンの失敗作として名高かったが、松田優作の探偵物語の元ネタとして有名になり、なんかいつのまにか、評価が逆転した。音楽も素晴らしく、よく眠れる。

 

4・『アニー・ホール』(1977/1978、ウディ・アレン監督)

 

 

 

いわゆるウディ・アレン信者になった作品。アニー・ホール(ダイアン・キートン)が愛しくて、タバコの吸い方からファッショまでマネした。ネクタイを愛用するようになったのね。実際にアレンと別れる原因が、エリオット・グルードとの交際のように記憶してるが、映画(『ダイアン・キートン/可愛い女』)で共演しただけなのかなあ?まあ、しょうがないね、と思ったけど。

 

5・『グロリア』(1980/1981、ジョン・カサヴェテス監督)

 

 

インデペント映画(知ってる?)の旗手ジョン・カサヴェテスを支える妻、ジーナ・ローランドは私のあこがれ。特にこの作品、マフィアの男達にも怯まない、超クールでハードボイルドな女グロリア、こんないつでもピストルの似合うおばさんになりたいと願った。が…結局…ただのおちゃらけオバさん、になってしまったが…

 

6・『ブレードランナー 』(1982、リドリー・スコット監督)

 

 

SF小説が苦手な私(SF映画ではない)は、『高い城の男』は挫折、辛うじてこの原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るのか?』を読んだ。フィリップ・K・ディックの訃報に接し、映画に臨んだ。今はなき、テアトル東京。て、ハリソン・フォードのファンなだけだったが、驚いた。ストーリーこそ違うが、まさに小説世界が再現されてる。ハマった。続編の『ブレードランナー2049』(2017、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督)も見た。想像以上の出来、前作にハマった人ほど良いかも。答えてくれたのだ。アンドロイドは夢を見るのだ…と。

 

 

 

7・『隣の女』(1981/1982、フランソワ・トリュフォー監督)

 

 

「あなたと一緒では苦しすぎる。でもあなたなしでは生きられない」

これがマチルド(ファニー・アルダン)とベルナール(ジェラール・ドパルデュー)、と私の墓碑銘。女が引けば男が追い、女が追えば男は引く。愛することは止められない。でもこの奧さん(ミシェール・ボームガルトネル)が、とてもいいのです。さすがフランスの、トリュフォーの、愛のお話。

 

8・『探偵はBARにいる』(2011、橋本一監督)

 

 

このあたりで『ソナチネ』(1993、北野武)を入れたかったのだが、彼の映画は、無言で色々進行するので、おやすみ映画では、こちらの登場が圧倒的に多い。7と8の間に、約30年。その間、私は、今でいえばブラックといわれる仕事に全身全霊を捧げ、信じられないほどの更年期障害、からだの不調、乗り越えたら伯母、母の介護。日本映画も元気がなくなり、そこに現れた北野映画の信者になりました。

 

そんな介護のなか、時折映画館に。原作を読んでたこともあり、東映、唯一の社員監督の作品(現在はフリー)、気に入りました。北海道札幌という限定はされてるが、東京から見れば、ちょっとユートピアな地域で、軽妙だけれど信念のあるハードボイルドなタッチ。探偵(大泉洋)と相棒の高田(松田龍平)のコンビ、ヒロイン(小雪)に翻弄されるさまも良く、ロング・グッドバイが龍平の父、優作の探偵物語を生んだように、ここにも引き継がれてるようで嬉しい。

 

 

 

9・『裏切りのサーカス』(2011/2012、トーマス・アルフレッドソン監督)

 

 

スウェーデンのアルフレッドソン監督の『ぼくのエリ 200歳の少女』は大好きであったが、ジョン・ル・カレの原作のファンでもあり、不安もあった。しかし、これは私のなかでは、大傑作です。私の思う「英国のスパイ」の小説が、見事に映画化されてる。しかも色々な愛が詰まって、もちろん憎しみも。吹替も録画してあるが、やはり原語、英語で。主役のゲイリー・オールドマンをはじめ、男たちの声がいい。ベネディクト・カンバーバッチも出てるでよ。近年のおやすみ映画、再生率、ナンバーワンだ。

 

しかしこのアルフレッドソン監督といい、ブレードランナー続編のヴィルヌーヴ監督といい、最近の監督は年齢ではなく、すごく達者だ。それを選ぶプロデューサーが巧みになっている。映画技術の進化、マーケットの多様化で、ただ映画が好きだから撮りたいでは、済まなくなっているのだろう。

 

一方で誰でも映像が撮れるようになり、あらゆる映像が溢れてる。パッションある、才能ある映像が見たいのは、私だけか。私は映画監督がつくる映像が好きなのだ。好きな映像をつくる監督が好きなのかな。

 

 

 

 

10・『シン・ゴジラ』(2016、庵野秀明総監督)

 

 

ゴジラは私の深層にいる。幼い頃から、ファースト・ゴジラの夢を見る。怖れている、けど待ち焦がれてる。

 

シン・ゴジラは、エヴァンゲリオンの実写版でもある。クルクルお目目の蒲田くんを見れば、シトであるとよくわかる。それが立ち上がり、海に戻り、再び、野村萬斎ゴジラとして、鎌倉沖にその神々しく、巨大な姿を現すと感動のあまり、平伏すしかない。

 

そして自衛隊の集中砲火を浴びながらも、ただただ北上し、米国の攻撃に、咆哮を上げ、背から全方位光線を放ち、口からの光線でも焼かれ尽くす東京…。その美しさ、ただただ涙が出てしまう。これはカタルシスなのか。

 

何度も映画館に足を運んだ。リピーターは、なぜか女子が多かったように思う。ゴジラ、庵野氏と女子の相性がいいのか。

 

おやすみ映画としても何度も、何度も流している。しかし、ファースト・ゴジラと違い、安眠出来る。なぜだ…

 

 

 

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ベストテンを選んでみて、やはり違うかな、と思う。おやすみ映画じゃなくて、私の名作認定ベストテンの方が良かったかな、とも思う。アレもない、コレもない、堂々めぐりの迷路にはまってしまう。「どうせ後から後悔するんだから、とっさに思いついた順、っていう勢いも大切」というワッシュさんの予言通り、ま、仕方がないね。ほんと、選ぶことが出来ない私…。

 

 

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