あとは体の回復を待つだけです。

 

多少の個人差はありますが、一般的に乳がん手術の入院期間は2~3週間ほどだそうです。

 

入院から10日が経っていました。

 

病院は快適でした。

 

看護師たちに優しくお世話され、三食のおいしい食事は何もしなくても出てくるし、部屋は毎朝お掃除してくださいます。

 

もともと読書が趣味だった私は入院する際にたくさんの本を持参していましたし、病院にも多くの本がありました。

 

女性ばかりの病棟はみなさんすぐに仲良くなり、毎日にぎやかに楽しく過ごしていました。

 

他の患者さんたちも退院が決まるたびに「もっと、ここにいたいわ~。」と冗談交じりに話されていました。

 

 

娘のことがなければ、私もそう感じていたと思います。

 

 

両親は私に心配させないように詳しく言いませんでした。

 

けれど、週末以来、実家に預けている娘はこれまで以上に私を恋しがっていたようです。

 

娘の様子は母から連絡をもらっていました。

 

でも私の声を聞かせると、より恋しがるだけなので電話で話すこともしていませんでした。

 

 

娘は大人しい性格で、大声で泣きわめくようなことは一度もありません。

 

よく「しっかりしているね。」と言われていました。

 

その反面、私に対してはすごく甘えんぼうなところがあって、これまで私以外の誰かと眠ることがありませんでした。

 

娘はどうしているだろうか。私のことを忘れたりしないだろうか。

 

5分おきには彼女のことを考えていたと思います。

 

私にできることは少しでも早く回復し、1日でも早く退院することです。

 

ウォーキングやリハビリに励みました。

 

娘が生まれて初めて、娘と離れて過ごす日々は、自由で身軽で信じられないくらい淋しいものでした。