三井住友VISA太平洋マスターズ最終日(13日、太平洋C御殿場C=7246ヤード、パー72)新世代の勢いは止まらない! 首位に2打差の2位から出たアマチュアの松山英樹(19)=宮城・東北福祉大2年=が、2イーグル、4バーディー、4ボギーの68で回り、通算13アンダーで2位に2打差をつけて優勝を飾った。アマチュアのツアー制覇は史上3人目の偉業で、10代でのツアー優勝も史上3人目の快挙。石川遼(20)=パナソニック=に続くゴルフ界のニューヒーローが誕生した。

 霊峰・富士の下、幾重にもできた人垣が息をのんで見守る中で、新たな歴史を生み出した。最終18番グリーン。震える手を押さえ、松山が放ったピン右50センチのイーグルパットがカップに落ちる。史上3人目のアマチュアのツアー優勝を成し遂げた19歳は、控えめに帽子を取って頭を下げ、1万2330人の大ギャラリーの大歓声に応えた。

 「すごくうれしいです。優勝できるとは思ってなかった。不思議な感じ。自分でいいのかな。本当に優勝したのかなという気持ちです」

 米メジャー「マスターズ」覇者のC・シュワーツェル(南ア)ら並み居る強豪を倒してのV。表彰式では、赤いチャンピオンブレザーに袖を通した松山の横に、高校まで同学年だったライバルの石川がホールインワン賞受賞のため並んだ。新時代の到来を告げる、まさに夢のシーンだった。

 松山の歴史的快挙は、その石川のエースに刺激を受けて達成された。17番(パー3)で石川がホールインワンを決めたとき、松山はすぐ近くの12番のティーグラウンドにいた。大歓声を聞いて、「伸ばさない限り優勝はない」と覚悟を決めた。

 以降は攻め抜いた。13番(パー3)ではピン左2・5メートルのパーパットをねじ込み、14、15番と連続バーディーで一気に単独首位に立つ。18番では、残り177ヤードから8Iで振り抜いた第2打をピンそば50センチにピタリ。最高のイーグルフィニッシュを呼び込んだ。

 今年4月のマスターズで日本人初のベストアマに輝いた。だが、その一方で疲労から手の甲が腫れあがった。体力不足を痛感し、「動けるデブになる」と決意し、体重を約8キロ増やして現在は85キロに。ズボンのウエストは82センチから88センチになり、腰回りも大きくなった。体幹を鍛えるトレーニングも積み、強い肉体を作り上げた。今大会の平均飛距離は300・33ヤードでランク2位を記録した。

 東日本大震災が大きな爪痕を残した宮城にある東北福祉大の2年生。自らもボランティア活動で牛乳配達をしたり、被災地でできる限りの活動を行ってきた。この日はホールアウト後「元気な姿を見てもらえて、元気を与えられたらいいなと思います」と力を込めた。

 今年のアジア・アマチュア選手権優勝で、来年のマスターズ出場権を手にしており、注目のプロ転向は最短でも同大会後になる。「これがゴールだと思っていたら、メジャー大会で優勝はできない。優勝は通過点です」。日本スポーツ界が誇るニューヒーローの目の前には、明るく大きな未来が広がっている。