憎きコロナグー

こやつのせいで、昨年からよく受ける営業マンからの相談がご遺品について。

 

 

海外に住んでいた親族が亡くなりました。

海外へ出向いて遺品整理をして、そのまま思い出の品を日本に持ち帰りたかったんですが、コロナで行くことができません。

何とかなりますか?

遺品でも日本へ送ると税金がかかりますか?

 

 

切ないです。

コロナ禍ならではの相談ですね。

 

 

コロナ禍じゃなければ、ご遺族が遺品整理をして手荷物レベルなら持ち帰りますし、少し量が多ければ海外から郵便や宅配便で日本へ送ります。

帰国する機内や空港で"携帯品・別送品申告書"に明細を記載して、入国する際に税関へ提出すれば30万円程度のものなら免税になります。

 

 

ところがコロナ禍でご遺族が現地へ行けないとなると、この携帯品や別送品の制度が使えません。

 

じゃあ何かいい免税制度はないのか?と探しましたが、ありませんえー?

 

 

ちなみに減免税制度をざっと列挙するとこんなものがあります。

※税関HPより引用

 

 

関税定率法10条(変質、損傷等の場合の減税又は戻し税等)

輸入申告後許可前又は輸入許可後保税地域にある間に変質・損傷等により経済的価値が減少した貨物に対し、正常な貨物と同額の関税を課すことは課税の均衡上適当でないので、これを是正するために変質・損傷等部分に相当する関税額を軽減又は払戻し。

 

関税定率法11条(加工又は修繕のため輸出された貨物の減税)

加工又は修繕のため我が国から輸出され原則1年以内に輸入される貨物(加工のためのものについては、その加工が我が国では困難と認められるものに限られる。)につき、輸出時の性質・形状により輸入されるとした場合の関税相当分を軽減。

 

関税定率法12条(生活関連物資の減税又は免税)

食料品、衣料品等生活関連物資の値上がりを防ぎ、国民生活の安定を図るため、輸入される生活関連物資の輸入価格が騰貴した場合にその関税を軽減又は免除。

 

関税定率法13条(製造用原料品の減税又は免税)

特定の製品(配合飼料等)を製造する国内産業の育成又は国民生活の安定等を図るため、その原料品(とうもろこし等)につき関税を軽減又は免除。

 

関税定率法14条(無条件免税)

皇室用品、外国元首等用の物品、国の専売品、再輸入品(次項の再輸入減税対象物品を除く。)等につき関税を免除。

 

関税定率法14条の2(再輸入減税)

我が国から輸出された後、性質及び形状に変更がなく再輸入される貨物のうち、保税作業による製品又は以前に減免戻税を受けた製品で保税作業によったため課されなかった関税額又は減免戻税額が新たに課される関税に比して少ない場合には課税の均衡上、その差額に相当する関税を軽減。

 

関税定率法14条の3(外国で採捕された水産物等の減税又は免税)

漁業奨励及び水産資源の確保のため、我が国船舶によって外国で採捕若しくは加工された水産物につき関税を軽減又は免除。

 

関税定率法15条(特定用途免税)

我が国の学術振興等の見地から特定の用途に供される特定貨物(学校等で使用される学術研究用品等)につき条件付きで関税を免除。

 

関税定率法16条(外交官用貨物等の免税)

古くからの国際慣行、国際法上の義務に基づき、大使館等の公用品、外交官等の自用品につき関税を免除。

 

関税定率法17条(再輸出免税)

我が国の加工貿易の振興、文化学術水準の向上等の観点から、国内産業に影響を与えないものや国内で消費されないものについて、輸入の許可の日から原則1年以内に再び輸出されるものについて関税を免除。

 

関税定率法18条(再輸出減税)

長期の耐用年数をもち、通常の輸入形態が貸借契約等により我が国で一時的に使用された後再輸出されるものにつき、国内で使用された価値を除く再輸出分に相当する関税を軽減。

 

関税定率法19条(輸出貨物の製造用原料品の減税、免税又は戻し税等)

海外における輸出貨物の国際競争力を保持し、輸出の振興を図るため、特定の輸出貨物の製造に使用された特定の原料品につき関税を軽減、免除又は払戻し。

 

関税定率法19条の2(課税原料品等による製品を輸出した場合の免税又は戻し税等)

保税工場における製品の製造に際し、やむを得ない理由で従来使用していた外貨原料品と同種の内貨原料品を使用した場合に、使用内貨原料品と同種の輸入原料品につき関税を免除又は払戻し。

 

関税定率法19条の3(輸入時と同一状態で再輸出される場合の戻し税等)

関税を納付して輸入された貨物が、その輸入時の性質及び形状が変わっていない状態で、その輸入の許可の日から原則1年以内に再輸出される場合には、輸入時に納付された関税を払戻し。

 

関税定率法20条(違約品等の再輸出又は廃棄の場合の戻し税等)

違約品等の再輸出・廃棄の場合、輸入者は経済的効果を受けないので、これを救済するため納付済の関税を払戻し。 

 

関税暫定措置法4条(航空機部分品等の免税)

航空機運送業、航空機製造業及び宇宙開発とこれに伴う科学技術の向上が産業経済発展に資するため、航空機部分品等のうち、我が国において製造することが困難と認められるものにつき関税を免除。

 

関税暫定措置法8条(加工又は組立てのため輸出された貨物を原材料とした製品の減税)

我が国から輸出された貨物を原料又は材料とし、原則1年以内に輸入される特定の輸入貨物につき輸出原材料相当分の関税を軽減。

 

関税暫定措置法8条の7(経済連携協定に基づく加工又は修繕のため輸出された貨物の免税)

経済連携協定の規定に基づき、加工又は修繕のため我が国から経済連携協定の我が国以外の締約国に輸出され、原則1年以内に輸入される貨物の関税を免除。

 

 

 

タイトルを見ただけで、だめだこりゃショックとなってしまうものばかりですね。

ほとんどが経済や外交のための制度です。

関税定率法14条なんて無条件免税ってタイトルですが、実際は条件まみれですからおいで

 

 

 

無能なオバサンは、この手の相談があれば

 

上差し現地の知り合いか遺品整理業者へ頼んで

上差し日本へ送る荷物は最小限に絞り

上差しINVOICE(日本で払う税金の根拠になる書類)には"For personal use"を明記

上差しINVOICEは"Used 〇〇"と中古を強調し、中古の価格を記載

上差しINVOICEには必ず"No commercial value"と記載

上差しINVOICEに送料込みで記載する場合は、貨物代金と送料は分けて記載

 

とアドバイスをしています。

 

INVOICEの内容をきっちり記載していれば税関へ個人使用の相談がしやすくなり、個人使用と認められるとINVOICEに記載された金額の6掛けで申告ができます。

 

6掛けになった金額が合計1万円以下なら、関税も消費税も0円になる可能性が高くなります。

※関税定率法第14条第18号

 

編物の衣類などはこの1万円ルールから除外されていますが、"Used"を記載することによって除外品目ではなくなるため、きちんとアドバイス通りに中古品と明記することをお勧めしています。

 

 

コロナ禍に入り、オバサン自身は今まで30件ほどしかご遺品の通関はしていませんが、今のところは全て関税消費税0円で輸入できています。

 

 

以上、ご遺品に関する免税制度を作ってもいいんじゃね?と思うオバサンの体験談でしたパー