ウィークリー・ブック・リビュー（５）

ウィークリー・ブック・リビュー

人は人と交わす言葉に詰まった時、相手を傷つける言葉を発したり、手を上げてしまったりすることがあります。同じように、国と国との間、国と国民との間においても、為政者や政治に関わる者が相互理解のための言葉を放棄した時、「国家のために」「神のために」という大義のもとに戦の歴史を繰り返してきました。今も多くの国々、民族同士が争い、多くの力なき人々、子どもたちが傷つき、命を失っています。

私たち人の言葉は、人を貶める「武器」としてではなく、人の心を安らかにする「楽器」として蓄えておきたいものです。

「せかいでいちばんつよい国」デビッド・マッキー作・絵

なかがわちひろ訳／光村教育図書・１５００円

世界中で一番大きな国が攻めていった小さな国で起こったことは・・・・

「ランパンパン」マギー・ダフ再話／ホセ・アルエゴ＆アリアンヌ・ドウィ絵

山口文生・訳／評論社・１２００円

王様にさらわれた女房を取り返すために、クロウタドリの亭主は猫や蟻、木の枝や川の力を助けにして、闘いを挑んだ。

「百年の家」Ｊ・パトリック・ルイス作／ロベルト・インノチェンティ絵

長田弘・訳／講談社・１９００円

家は人の悲しみ、喜びと共にあり、暮らしを見つめ支え続けます。戦に疲れ、帰ってきた兵士たちに、本来の安らぎの場をも用意して待っているのです。

「くさはらのこびと」エルンスト・クライドルフ文・絵／おおつかゆうぞう訳

福音館書店・１２００円

こびとたちの争いのために、金色の月は姿を隠し、世界は真っ暗になってしまった。

「なぜ戦争はよくないか」アリス・ウオーカー作／ステファーノ・ヴィタール絵／長田弘・訳／偕成社・１２００円

戦争はたくさん経験を積んでも、少しも賢くならない・・・。

「ぼうさまになったからす」松谷みよ子・文／司　修・絵

偕成社・１２００円

村にいた、たくさんのからすは、南の島へと、おとむらいにいっただよ。

「風が吹くとき」レイモンド・ブリッグス作・絵／さくまゆみこ・訳

あすなろ書房・１６００円

普段の暮らしを送る、気付かぬ内に、ひとあし、ひとあし、戦争は忍び寄ってきます。その戦争へと準備している者たちがいます。まるでプラモデルの軍艦を操作し、大砲を撃ち、兵士たちを戦場に配置するように、自分の手を汚すことなく、戦争のための準備をする者たちがいます。彼等は為政者になってから、そうなったのではなく、幼い時から、そのような性格を持ち、そのことに疑問を持つための想像力を持ち合わせなかっただけなのでしょう。

御案内：これまで年中無休で営んでまいりましたが、次のように夏休みと定休日を設けさせていただきます。ご不便をおかけいたしますが、ご理解とご協力いただきますよう、お願い申し上げます。