耳の奥にオッサンが住んでいた話 | 外わんこ&内にゃんこ

耳の奥にオッサンが住んでいた話

2回ほど 不思議な音を聞いたことがある

 

それが耳鳴りだと思い至ったのは なんとつい最近!

そう! ついこの間 あの本を読んだから

 

 

一度目は小学校1年のとき

とある事情で しばし父との二人暮らしになったときのこと

姉と離れたことが寂しくて毎晩泣き暮らしていた

 

困り果てた父は布団を二つに折り

父の布団にくっつけて すぐそばに寝かせてくれた

それでも毎晩悲しくて仕方がない 涙が止まらない

 

そんなある夜

ザクッ ザクッと音がする

石炭の山にスコップを突き立てるような音

そのリアルな音を聞いているうち

汗にまみれた人がスコップで石炭を掘る姿が目に浮かんだ

ランニングシャツを着た小さなオッサンが

耳の中で一生懸命掘っている

 

気のせいと言うには あまりにリアルな音だった

 

今思えば

いつも一緒にいた姉の不在というストレスが引き起こした

怪音だったのかもしれない

 

 

 

2回目は23年前

東京からUターンして仕事を探していた時のこと

 

履歴書を持って面接に行ったら一言で突き返されたり

やっと決まったと思ったらブラックだったり セクハラだったり

1年たっても納得いく仕事が決まらず欝々と過ごしていた

 

そんなある夜

布団に入ると 遠くから汽笛が聞こえくる

汽車なんてないし 第一、時間が遅い

曇りの日は遠くの音が聞こえるというから それかなと思い

(遠くにもそんな汽車が走る路線はないのだが)

汽笛の音を楽しんでいた

車輪の音 シュッシュッボーッという汽笛の音…

 

汽車の音が止むと 次はトラックが通り過ぎる音が聞こえだした

重いトラックが通り過ぎる音のなんとリアルなことか

家のすぐ前の道を……  え? こんな時間に?

 

あれが耳鳴りだったのかと今になって思う

 

嫌な音ではなかったが

寝ているときに だんだん音が大きく迫ってくるのは困った

途中から 遠くの音が聞こえるのじゃないと気づいてからは

どうしちゃったんだろうと ちょっとだけ怖くなったのを覚えている

 

 

「何でもいいから とにかく働きなさい」

職安のおばちゃんの勧めで短期のパートを始め

やがて年末だけの短期集中バイトをしたり

ちょこちょこ働く日々を送るようになった

 

それで耳鳴りのことは忘れてしまったのかなぁ

職探しも面接も いろいろ経験して

地方で働くことに染まることができるようになった頃

やっと正社員の職を得ると

汽笛やトラックの音も 炭鉱のオッサンも出なくなった

 

田舎ストレスに慣れたのだろうか

 

でも

今思い出しても あの音は本当に不思議だ

 

ストレスって本当にすごい影響があるものだ

病的症状が現れたストレスも経験してるのだが

耳鳴りはあの2回だけだったなぁ

人体の不思議…

 

 

 

 

さて 今日は4時間の講義

こっちはまだストレスに感じていないのか

ストレスを感じるほどの追い込む勉強が足りていないのか

耳鳴りはない

 

 

大ちゃんは虫の声が気になる?   涼やかでいい声だね

 

最近ちょっとだけ聴こえるのは

まぁ 長年使っていればくたびれてくるよの類の音

 

ストレスとも上手に付き合えるようになったのかもしれないなぁ

 

では 4時間頑張ってくるよ

おっと その前に宿題のチェックだぁ~