桜宮高校体罰「自殺」事件 初公判で公開された“殴り続け”映像 | ・大津、出水、そして全国の子供たち、死んじゃいけない~ヘロの独り言

・大津、出水、そして全国の子供たち、死んじゃいけない~ヘロの独り言

・ 全国で子供たちが陰湿ないじめによって死に追い込まれている。
  命を奪うものは直接の加害者だけじゃない。見てみぬふり、時には言葉の暴力や直接の暴力で、子供たちを死に追いやる教師もいる。
  そんな狂った社会に向けて、老人は怒りをこめてつぶやきます。

天理


名門・天理大柔道部を覆う「暴力の連鎖」、問題意識なしの“時代錯誤”…
それでも部長は全柔連理事に就任しようとする“厚顔”
これはヘロの言葉ではなく、事件を報じた産経ニュースの見出しです。
的を得た表現だと思います。
1、暴力の連鎖・時代錯誤な暴力支配の思想
2、危機意識・問題意識の欠落
3、保身のために、平然と事件の隠蔽をはかる厚顔無恥
事件の本質をひとまとめに表現する巧みな見出しだと思います。

フランスのように、スポーツ指導者の国家資格化をはかり、指導する資格のない【指導者】をスポーツ教育、スポーツ指導の現場から駆逐していく。そういう形で、現状を根本的に変革しないかぎり、この負の遺産は延々と引き継がれていきます。
人格的な面でも、指導理念や知識の面でも、とうてい人を指導する資格のない者たちが、この先も子供たちの上に君臨し、指導に名をかりた暴力を繰り返すことになります。
優れた記録の持ち主であっても、どれだけ賞を得ていても、それゆえにどれだけ人気があったとしても、それは人を指導する資質の証明にはなりません。今回の事件でも、金メダリストである主将が、最初は「暴力を制止できなかった不甲斐なさ」を反省している等と言いながら、その舌の根が乾く間もなく実は彼もまた暴力をふるっていたことが暴露されています。メダルを獲得することと人格の良し悪しは別のものです。記録やメダルは、指導能力の有無を判断する基準にはなりません。

ところが日本のスポーツ界は、その人物の人格、見識、能力によって指導者を決めるのではなく、記録や賞歴、人気といったもので選ぶか、ひどい場合は特定の体育系大学などの学閥や組織閥で決めるという悪弊をもち続けてきました。そういう仕組みの中から剣太くんを死なせた大分の坂本や、桜宮の小村のような人物が現れてくるのです。
天理の事件が桜宮高校事件の真っ最中に起きたこと、また、この事件の隠蔽処理が全柔連の暴力事件と並行した時期に行われていたことが、もっと注目されて然るべきだと思います。つまり、この指導者や部員たちには、そうした事件にたいする問題意識も危機意識も全くなかったということだからです。そんな環境の中から次の世代のスポーツ指導者が出てくるのかと思うと、身の毛がよだつような気がします。

変革といっても並大抵のことではありません。現在のスポーツ界(スポーツ教育界)には、こういう仕組みの中で育ってきた【指導者たち】がうじゃうじゃいるわけで、人格や見識、指導能力を厳しく問われると困ることになるからです。そこで生活の糧を得ているとか、名誉を得ているとか、いわば【利権】の根幹を脅かされることになるからです。桜宮の事件でも、特定の学閥や団体が暴行犯小村をかばうために色々動いたという噂があります。彼らに踊らされた子供たちもいるようです。そういう噂が現実味を帯びるような実態こそが、すべての根源と言わざるをえません。無能な【指導者】がその暴力支配を正当化するためにふりかざす非人間的な精神主義は、互いにもたれあい、かばいあうような利権の閥構造の中で温存され、継承されてきました。時代錯誤な序列の感覚は、そうした暴力支配の思想によって護られてきました。つまり、人格的に、あるいは指導能力や見識に問題のある人物でも、そうした序列と支配の思想によりかかって、これまで指導者ヅラしてこられたわけです。
こんな人々が根本的な変革に賛同するはずはありません。賛同しないどころか、猛烈に反発するはずです。
でも、これを実現しないことには、真の解決はありえません。でなければ、子どもたちはこれから先も指導に名をかりた理不尽な暴力にさらされ続けることになり、命を脅かされ続けることになるからです。

桜宮事件法廷での暴力行為のおぞましい実態について、月山さんがコメント欄で週刊朝日の報道記事を紹介してくれています。貴重な情報なので、皆さんにもお伝えしたいと思い、以下に掲載します。指導に名をかりた暴力支配がどれほどおぞましいものか、実に生々しく教えてくれています。

桜宮高校体罰「自殺」事件 初公判で公開された“殴り続け”映像
週刊朝日 2013年9月20日号

昨年12月、大阪市立桜宮高校のバスケットボール部のキャプテンだった男子生徒(当時17歳)が体罰を苦にして自殺した事件で9月5日、男子生徒への傷害と暴行の罪で起訴された当時の顧問教諭、小村基(はじめ)被告(47)の初公判が大阪地裁であった。起訴の決め手になったともされる「ビデオ映像」が公開され、法廷に戦慄(せんりつ)が走った。

小村被告は、起訴内容を認め、遺族に深々と頭を下げて謝罪した。だが、検察側が証拠として、自殺前日の昨年12月22日、桜宮高校であったバスケットボール部の練習試合を撮影したビデオ映像を公開すると、法廷の雰囲気が変わった。

この映像は体育館の2階から撮影されていた。試合中にもかかわらず、小村被告はプレーをしていた男子生徒を平手で殴りつけた。さらにコートの中を追いかけ、体育館の壁に追い詰め、逃げられないようにして20発ほども殴り続けていた。

バチン、バチンという平手打ちの音が、かなり遠くから撮影されていたビデオ映像にはっきり記録されていた。検察側は、「口が血まみれになっても殴っていた」と指摘した。

被害者参加制度を利用して男子生徒の母親(45)も小村被告への質問に立ち、激しく追求した。「ビデオ映像では30秒近く殴っている。何を考えて殴ったのか」。

小村被告は小さな声で答える。「指導です。強くなってほしいと……」。
母親はさらに続けた。「あなたの調書を読みました。『鼓膜が破れないように叩く。生徒が動くと破れることがある』と書いてあった。(鼓膜が破れたら)責任は生徒なのか?」「指先で触るように殴るとも話していた。なぜ、それでケガをするのか?」

母親の厳しい問いかけに、小村被告は無言で何も答えられない。さらに母親は、男子生徒が小村被告に対してキャプテンを続けると約束したときのことを聞いた。

「あなたは『キャプテン続けるなら殴られてもいいんだな』と息子に言いましたね」

「はい。本当に申し訳ありません」

消え入るような小さな声になる小村被告。母親は男子生徒が自殺した後のことにも触れ、「学校から止められているとか、体調が悪いといって、弔問に来なかった。息子の兄が連絡して初めて来た」。こう指摘すると、小村被告はうなだれるように認めた。

公判ではほかにも、小村被告が男子生徒だけではなく他の部員にも暴行していたことや、教師になった24年前からずっと体罰指導を続け、桜宮高校で教諭だった妻も体罰を容認していたこと、部員以外への体罰で学校から指導されると部員限定で体罰を続けたことなど、次々ととんでもない事実が明かされた。

公判終了後、男子生徒の両親は記者会見し、母親は法廷で明るみに出たこと以外にも、さらなる体罰があったと話した。「小村被告は、部員を倉庫で隠れて殴っていた。通称倉庫インと呼ばれていた。息子は倉庫の中からドンドンと音がするし、鼻血を出していたりするのでわかると話していた」。

そして、こう訴えた。「謝罪に来たのも2度だけです。法廷を見ても、まったく反省していない。暴行傷害罪ではなく、傷害致死罪だ。許せない」。

検察は懲役1年を求刑し、結審した。判決は9月26日に言い渡される。

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おぞましい暴行犯たち。彼らはきまって、ただ不正義を行うだけでなく、事件の隠蔽、責任のがれ、責任転嫁に走ります。それは彼らが指導者などではなく、ただの臆病者だからです。
コメント欄に書いた江戸時代の書物の言葉を、ここにも再掲しておきます。
(毎日新聞・余録から引用)
▲江戸時代の武家の心構えを説いた「武道初心集」という書物がある。そこでは妻女をどなったり、手をあげたりする振る舞いを「言語道断(ごんごどうだん)、臆病武士の仕業(しわざ)」と非難し、次のように記している▲「総じて、自分に手向かいできない相手と見て理不尽(りふじん)のやり方に及ぶようなことは『猛(たけ)き武士』は決してしないものである。『猛き武士』が嫌ってしないことを好んでする者を臆病者というのである」。