はじまりのみち  【閑話休題】 | ・大津、出水、そして全国の子供たち、死んじゃいけない~ヘロの独り言

・大津、出水、そして全国の子供たち、死んじゃいけない~ヘロの独り言

・ 全国で子供たちが陰湿ないじめによって死に追い込まれている。
  命を奪うものは直接の加害者だけじゃない。見てみぬふり、時には言葉の暴力や直接の暴力で、子供たちを死に追いやる教師もいる。
  そんな狂った社会に向けて、老人は怒りをこめてつぶやきます。

はじまりのみち


忙しさにかまけて、ブログ更新をさぼってます。
前記事までの流れにひとくぎりつけるために、ここらで閑話休題。

長く見ていただいている方なら先刻ご承知のことなんですが、
ヘロが日本映画の監督の中で心底しびれているのは、
世界のクロサワでも、小津でもなく、木下恵介さんです。

喜びも悲しみもや、二十四の瞳はこのブログでも触れましたし、重厚なところでは楢山節考という名作もあります。
その木下監督生誕100年を記念する映画「はじまりのみち」が本日封切り。
クレヨンしんちゃんの原恵一監督が初の実写映画というのも面白い話で、
『記念のためというと無理やり感が出がちだが、木下作品をほうふつとさせる堂々とした作品になっている』(毎日新聞)と、高評価を得ています。

とりわけ『終盤は、木下作品の名場面の数々が映される。その選択のうまさに驚嘆した。旧世代にはいつまでも見ていたくなるシーンの連続であり、初めて遭遇する世代には木下監督再発見のきっかけとなるに違いない』と評されています。
木下作品未見の方には、是非ともとおすすめしたいです。

この記念映画は、木下監督が名女優田中絹代で作った「陸軍」という作品が、田中絹代演じる出征兵士の母が女々しいと軍部からにらまれ、松竹を追われるに至ったエピソードを軸につくられています。実に凛とした木下監督自身の母親と監督とのやりとりが、田中絹代演じる母親の演技と重なり合い、のちに名シーンといわれるようになる映画「陸軍」の迫力に満ちたラストにつながる。そう紹介されるとすぐにでも劇場に向かいたくなるのですが、いつものパターンで、TSUTAYAに回ってくるまで待つはめになると思います。

殺伐とした作風を妙に持ち上げられる某監督は、いじめ問題について問われたとき、躾けと行儀作法を持ち出していました。さて、写真週刊誌に殴り込みをかけるような作法は、はたして躾けのたまものか・・・
むしろ、出てくるのは悪人ばかりという彼の近作が象徴するような文化状況こそが、実に大きな問題だと思うのですが。
口汚く相手を罵ることが、まるで自己アピールの正しい方法でもあるかのように錯覚してしまう。そんな子供たちを量産するだけの作品だと思います。
かといって、片方では、どれだけ泣かせるかというキャッチフレーズで観客動員を図ろうとする興行もあります。
泣くか、泣かないか、そんなことではなく、凛とした人間観に支えられる、本物の【感動】を追求してもらいたいものです。