古今亭志ん輔「「うどん屋」 | おあいそ。煮

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超新人の放送作家(漫才やコント・落語も書きます)でございます。
好物は、皆の笑顔と金魚です。あと、砂肝。

流しの売り物屋の場合、


小声で呼び止められると

しめた、と思うそうだ。



なんでも、

小声で遠慮がちに止められる場合、

大口であることが多いからだそう。


主人公である、流しの鍋焼きうどん屋の場合もそうだが、

クズ屋などと違って

どうにも品てもんがない。

ダミ声で「な~べ焼~きうど~ん!!」と売り歩いていた。


そんなある日呼び止められたのは

酔っ払い。


散々絡まれた挙句、

水だけ飲まれて逃げられた。


と思えば、

声を上げて売り歩いているもんだから、

「子どもが寝てるから静かにしてくれ」

と怒られる

犬にもほえられる始末。


どうにも運がないと思うところへ、

次は小声で声をかけられた。


小声は大口のチャンス。

これはと思ってうどん屋も小さい声で答えたところ、

「ひとつ」と注文。


まずは一つ食べて

それからかと思って作ってやると

普通に食べられ

なかなか次の注文を言ってこない。


お勘定をすませたところへ

また小声でその若者から

「うどん屋さん?」

と言われたので、

小声で「へぇ」と答えると


「あんたも風邪をひいたのかい?」





サゲでどんと笑えるお噺。

最初に「小声で呼び止められたときの話」を

ネタふりしてあるので、

さんざん引っ張って引っ張るもんだから、

最後にドンと笑えるのでしょう。


緊張と緩和ってこういうのですかね。


最後のシーンまでは

それぞれ噺家の個性が出るのかなと思いました。

特に酔っ払いの部分。


どうでもいい話で

うどん屋が困り果てるのも

面白かったです。