監査手続の中で過年度の決算に関する誤謬が見つかった場合にまず考えることはその誤謬の重要性です。

重要性に応じてたどる道は異なります。


・重要性がないので当期の営業損益または営業外損益に含める。(特別損益はダメ。基準の65項参照。)

・重要な誤謬であるが訂正報告書を出すほどではないので当期の有価証券報告書の比較情報を修正再表示するだけ。(経理情報3月20日号などによるとこれは想定されていないとのこと、その他複数そんな解釈されているようです。)

・重要な誤謬なので比較情報の修正再表示するし、過年度の有価証券報告書も訂正報告する。


以上は有価証券報告書の話です。

このような話はよく聞くのですが、一体会社法の計算書類についてはこの過年度の誤謬をどう考えればいいのでしょうか。


週刊経営財務の3月19日号に会社法上の株主資本等変動計算書の「書き出し」は? という記事があります。

株主資本等計算書に「当期首残高」なる表現が求められるようになり、それに伴い3月31日と書くべきか4月1日と書くべきか、ということが書かれています。(ちなみに僕のよくいくUSGAAP会社は4月1日表示です。)

しかし、もはや僕にとってそんなことはどうでもいいことで、「当期首残高」との記載に変わったことが重要なのです。

この心は必ずしも前期末残高から始まるわけではないということです。

つまり、前期末残高と当期首残高が一致しないケースが想定されているということです。

計算書類には会計監査人や監査役監査終了後に取締役会または株主総会による承認手続きが行われ、確定されます。

そしてこの確定した計算書類を基礎として、剰余金や分配可能額が決まります。


そこで、過年度に確定した計算書類に誤謬があることが発覚した場合にどう考えるのかということです。

訂正報告するべきかどうかの虚偽記載の重要性と、会社法上の計算書類を作成しなおすかどうかの重要性は多少異なると考えられます。

前者の場合は過年度の有価証券報告書で意思決定を誤らないように投資家保護のためという観点のみで重要性の有無を考えればよいと考えられます。

一方後者の場合、その誤謬が重要かどうかは、確定した過年度の計算書類の効力を無効ならしめるかどうかということを意味することになり、法的安定性と違法配当により損なわれる債権者の利益保護という2つの観点で重要性を勘案することになると思われます。


すなわち誤謬のある決算に基づき配当されたことにより、具体的に誰か損したのかという観点と思われます。

基本的に会社法上、承認された計算書類は一般に公正妥当な会計基準に準拠したものと推定されると考えられますので、その結果違法配当がなされて、誰か大損したということにならない限り無効にはならないと解されるということです。


したがって、考えられる選択肢は以下の通りです。

・重要性がないので当期の営業損益または営業外損益に含める。

・重要性がないとはいえないので、利益剰余金期首残高等に過去の誤謬の影響を反映させる。

・債権者の利益を害したため無効となってしまった過年度の計算書類を再作成→監査等→確定の承認


また、2番目を選択した場合会社計算規則102条の5により注記が求められます。

ただし、重要性がないが修正再表示している場合には不要です。


第百二条の五  誤謬の訂正に関する注記は、誤謬の訂正をした場合における次に掲げる事項(重要性の乏しいものを除く。)とする。
  当該誤謬の内容
  当該事業年度の期首における純資産額に対する影響額


ちなみにオリンパスは平成24年4月20日に開催される臨時株主総会で過去5期分(平成19年3月期から平成23年3月期)の計算書類の訂正の承認を受ける予定となっています。


参考文献はこちら。




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債権者の利益保護が関係ない場合、過年度の計算書類は有効という説は参考になりました。

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