消費税 ミニ勉強会フォロー
5月10日と6月3日に開催した、”消費税・非課税問題を考えるミニ勉強会: 大家さんは関係無い!では済まされない”にご参加下さった皆さん、遅ればせながら改めて御礼申し上げます。
流石に2回目となると、ご参加の方々の理解度も進み、以下のようなご質問を頂きました。
質問: 大家以外にこの問題で苦しんでいる業界は無いのですか?
もちろん、この問題は大家さんだけでなく、”非課税売上げがある課税事業者・免税事業者”全体の問題です。
今日はちょっとこの件について解説:
非課税アイテム13種類:
<税の性格上>
1.土地
2.有価証券
3.利子
4.切手・印紙等
5.役所の手数料
<社会政策上>
6.保険医療
7.介護サービス等
8.助産関連
9.墓地・埋葬関連
10.身体障害者関連
11.授業料・入学金等
12.教科書
13.住宅家賃
大家さんが抱える問題は、”課税売上げ割合が(限りなく)ゼロ”であることと、”仕入に全て課税されている”ということです。それでは他の非課税アイテムを検証してみましょう。
1.: まず仕入の土地には課税されていませんね。ですから、”土地の仕入”に限って言えば、問題となりません。もちろん、社屋等を建設すると同じ問題が発生しますが・・・
2.3.: これも1.と同じ
4.5.:役所関係ですから、関係ないですね。(郵政が民営化された後のことは良く分らない・・・)
6.7.8.10.11.: これらの業種は、知識集約/労働集約型業種(要は人件費比率が高い)で、物理的な仕入(課税)が相対的に低いといえます。つまり、上記1.と似たような状況の上に、いずれも何らかの形で政府からおカネが出ています(6.は除く)。これでは問題にならないですね。
6.については、監督官庁が財務省ですから、3.と同様問題となるはずがない・・・・
9.:スミマセン、この業界はよく分らない・・・・
12.これはしっかり仕入(紙・インク・印刷機等)に課税されていますが、教科書専門会社というのは少ないようです。つまり、課税売上げ割合がかなり高い、ということです。さらに、この業界も、政府からおカネが出ていますね。
13.概して、大家業は仕入率が他業種に比べ低い。建物の建設は数十年に一度なので、問題が顕在化しにくい。但し、課税売上げ割合が限りなくゼロになるのは、13の区分のうち、大家業だけ。
と言うわけで、課税売上げ割合がゼロ、仕入に課税されている、更に、行政からの補助金がゼロ、と言う意味からすると、13.が一番問題であるということです。逆に言えば、1.~12.は”誤差の範囲・お上から補助金貰っているから”ということで、問題化しない、という構図が見えてきます。
そういう意味では、消費税法単独の解決策にはなりませんが、”家賃補助”というのは理に適っているとも言えます。なぜなら、本来入居者が負担すべき”免税事業者の仕入税額控除相当額を補助する”というのは、誰にも文句言われない正当な理由だから。