ふるさと納税による義援金
税理士×大家です。
昨晩の強い地震大丈夫だったでしょうか?
今日は、税金のお話です。
すでに被災地への寄付をされている方が多いと思いますが
「義援金にふるさと納税を利用した方がよい」なんて聞いた方いらっしゃるのではないでしょうか
本当のところはどうなのか
税金面から解説したいと思います
ふるさと納税とは、(自分のふるさとに限らず)自分が貢献したいと思う
都道府県・市区町村へ寄付をするということです
寄付した分は(約5000円を超える)全額が所得税・住民税から控除
されるため注目されてます。
具体的な計算式は
①所得税の寄付金控除(所得控除なので税率をかける前に控除されます)
寄付金-2,000円=寄付金控除額 【所得の40%が限度】
(寄付金控除額×税率 分が所得税から安くなります)
②住民税の寄付金税額控除(税額控除なので税率をかけた後に控除されます)
(ア) (寄付金-5,000円) × 10%
(イ) (寄付金-5,000円)×(90%-寄付者の所得税の限界税率〈0~40%〉)【住民税所得割の1割が上限】←住民税所得割の税率は10%なので、所得の1%ということです
(ア)+(イ)が控除額になります
※所得税の限界税率とは、複数の税率を適用して所得税を計算する場合の最も高い税率。
つまり、速算表で使う税率のことです。
複雑な計算式ですが、簡単に言うと、課税所得の1%程度程度までなら、5000円弱を超える
寄付金が所得税・住民税から全額控除されます
ちなみに、日本赤十字に寄付した場合の寄付金控除は、
所得税はふるさと納税と同じで、住民税は②(ア)部分だけの控除になります。
つまり、ふるさと納税の場合②(イ)部分だけ住民税の控除が多くなります
具体例で違いをみてみましょう。
【年収500万円の方が、3万円を寄付した場合。(所得控除は基礎控除38万円のみと仮定)】
寄付前:所得税210,500円 住民税310,500円 計 521,000円
市町村へ寄付した(ふるさと納税)場合
所得税207,700円 住民税288,000円 計 495,700円 (寄付前より△25,300円)
日本赤十字に寄付した場合
所得税207,700円 住民税308,000円 計 515,700円 (寄付前より△5,300円)
納税者からみると、ふるさと納税の方がお得なような気がしますが、
徴収側を見ると、ふるさと納税では全体の税収は変わりません
【A市在住の方がB市にふるさと納税した場合】
A市 -30,000円 B市 +30,000円 A市とB市合計では±0
単なる節税目的でみんながふるさと納税をすると(税収は増えないので)
結局税収不足になり増税なんてことも考えられますのでご注意を
ふるさと納税を利用した義援金は
お金を被災地に集めるという意味では
とてもいい制度ですので
あくまでも被災地を支援するという善意の気持ちで利用するのがいいかと思います
個人的には、経済が萎縮しないように
みんなでバンバン消費して
バンバン納税して
全体の税収を上げるということも
充分に被災者支援になるのではないかと思ってます
それぞれご自身にあった支援をしていきましょう