大家はなぜ消費税の還付が受けられないか?
第8回/18回
それではこの通達について解説しましょう。
第4・5・6回で、“消費税の仕組み”についてお話しました。ちょっと復習しますと、
(預)かり消費税 - (仕)入税額控除額 = 納税/還付額
でしたね。普通は “預>仕”となるので“納税”しますが、赤字決算等で“預<仕”となった場合には、“還付される”と申しました。
ところがそもそも我々大家は、店子様から消費税を預かっておりません。つまり、常に“預<仕”となるのです。この場合、“課税事業者”であれば、一般的には“還付”を受けますが、我々は“免税事業者”なので還付の申告さえ出来ません。もちろん、“届けを出して課税事業者になる”手段はありますが、その場合でも、住宅家賃の売上しかなければ、“課税売上割合=ゼロ”となり、やはり還付は受けられません。
つまり、仕入に掛かった消費税=仕入税額控除相当額 を回収する術がないのです。
それではどうすればいいのか? その答えの一つが第7回でご紹介した“局長通達”なのです。
つまり、課税の状態で103,000円(家賃+消費税)を、税抜きの100,000円に下げてしまっては大家は“自腹を切る”ことになるので、101,500円にしなさい(不動産業のみなし仕入率=50%)、ということです。もちろん、大家さん毎に“仕入率”は異なりますから、極端な話当時の税率でいえば、“103,000円の家賃は、100,001円~102,999円(1円単位)にしなければならなかった”ということです。
どうでしょうか?これが消費税・非課税の仕組みなのです。
私はこれを財務省の役人から直接TELで聞いたとき、振るえが来たと同時に、即次ぎの問題点を指摘しました。
<続く>