故に勝を知るに五有り。


以て与ともに戦ふ可く、以て与ともに戦ふ可からざるを知る者は勝つ。


衆寡の用を識る者は勝つ。


上下の欲を同じうする者は勝つ。


虞ぐを以て不虞を待つ者は勝つ。

将は能にして君の御せざる者は勝つ。


此の五者は勝を知るの道なり。


故に曰く、


彼を知りて己を知らば、百戦して殆あやふからず、彼を知らずして己を知らば一たび勝ち一たび負く、彼を知らず己を知らざれば、戦ふ毎ごとに必ず敗る、と。