夏の奇跡
８月末は夏の高原に、ヒゴタイの花が咲くころだ。
地元、県北の山鹿市（やまがし）を出発するときは、まだ残暑・・真っ只中。
愛車フィアットムルティプラで、阿蘇路「ミルクロード」を走ると、その公園は・・ある。
どしゃぶりだった。
しばらくすると空が一瞬、明るくなった。
天使のカーテンみたいに、パッと雨が止んだ。
ダメ元で、入場ゲートまで行ってみると入園可だと係りの方がおっしゃる。
それも・・車のまま入って大丈夫だと、こっそり入れてくれた。
ご存知の方も多いだろうが、この公園は車進入は厳禁である。
・・にもかかわらず、もうしわけなく感じたがお言葉に甘え
そうさせていただいた。
とても綺麗だった
豊かな空気だった。
しばらく公園の中を独り、散策した。
晴れたり、曇ったり
楽園のようだった。
ブンブンっと蜂も飛び交う。
噂で聞いたことがあった。
青い蜂「ブルービー」の話を。
幸運になれる
奇跡とも称される・・
まさか..ね.。
そんな想いで、蜂を追いかけてみた。
大人げも無く、走り回ったあと
息も上がり
あきらめ・・車に戻ろうとした瞬間
真っ青なハチが、僕の目の前に現れた。
ここは、１３年前の９月に訪れた。
アイツが、その日の朝に亡くなっていたのを知らないまま
同日の午前中、遊びに来た公園だ。
悔やみ・・
とても後悔している。
今日・・アイツと逢えた気がした。
僕は声をあげて泣いた。
