　横岳、小同心クラック　１６，１１，１９・２０

　　隣の大同心稜の登攀には厳冬期を含め何回か登っているが、まだ

　小同心クラックには行ってなかった。赤岳主稜の例会計画とコラボ

　する形で個人山行として企画するということで参加する。

　　メンバーはシシ岩登攀のときと同じ４名である。今回も天気は

　微妙で１９日は雨のようだが、赤岳鉱泉に行くだけだし２０日は

　何とか晴れてくれそうということで決行することにした。

　　今回は企画した師匠が車を出してくれるので、１９日赤岳山荘駐

　車場まで入るが、着いた頃は本降りの雨となった。上がってくる

　はずを信じてしばらく赤岳山荘で雨宿りさせてもらう。

　　山荘の小母さんと小同心クラックに行く話しをすると、どうやら

　小母さんも昔はクライミングをやっていたような話しぶりである。

　山荘を経営する人たちはやはり昔は山屋だった人たちが多いのだ

　ろう。１２時近くようやく小降りとなり歩き始める。

　北沢沿いの道。沢は雨上がりで少し水量が多いようだ。

　　まだときどき雨がぱらつく天気で大同心岩峰は全く見えない。

　１４時過ぎ赤岳鉱泉に着く。アイスキャンデーにはまだ全く氷は

　付いてない。

　　赤岳主稜組み５名は１時間以上後に到着する。部屋は主稜組みと

　合同にしてもらい一部屋貸しきり。９人だと一杯だが大部屋で自分

　の居場所もままならないよりは格段にいい。皆到着後談話室で宴会。

　　結構飲み食いした頃に夕食となる。メニューは普段は口にする

　こともないステーキだった。時々当たるが豪勢なものだ。

　　さすがに今日は午前中雨だったこともあり客はいつもの土曜日

　ほどの混雑はなく気分的に楽だね。食事が３回交代くらい混むと

　何もかもがままならないので気分が滅入る。夕食後は早々と寝る。

　　２０日朝、迷ってはいたのだがあまり混雑してないので小屋の

　朝食（６：３０から）を取ってから出ることにした。これで準備

　を整えて歩き始めたのが７：１５頃と遅くなり、結果的にはこの

　日の短い時期のことだからヘッデン下山となる一因となった。

　　小同心クラックに取り付いている他のグループはなく、クラック

　の登攀も大きなトラブルはなくほぼ順調に登ることは出来たのだが、

　取り付きまでの大同心稜の登り、そして横岳から硫黄岳回りの下山

　に思った以上に時間が掛かったのだ。全員が古希を過ぎたメンバー

　なのだから基本やはり体力がない。こうしたことを織り込んで朝は

　出来るだけ早く出るべきだった。そうでなくとも岩登りの場合は

　何かのトラブルに備えて出来るだけ早く出るべきだろう。

　　大同心沢は直ぐだ。大同心岩峰が聳えている。

　　沢から直ぐ大同心稜の登りとなるがこれが結構急である。

　雪がない分段差が大きく登りにくい。

　　樹間に阿弥陀岳や硫黄岳が見えてくる。８：１０過ぎ頃。

　　樹林帯を抜けて大同心が大きく聳える。８：４０頃。ここは

　展望が開ける。中央アルプスから北アルプスまでの大展望だ。

　基部までの道はアイゼンを付けるほどではないが凍っていて歩き辛い。

　　９：１０過ぎに大同心基部に付く。赤岳鉱泉が森の中に見える。

　ここで休憩がてらアイゼンを装着する。

　穂高連峰らしきの右手槍ヶ岳は雲を被っているようだ。

　　大同心基部をトラバースして、大同心ルンゼ（大同心沢）へ降り

　これを横断する。

　　横断して小同心クラックの取り付き目指して登っていくが、ここ

　には少し雪が残っていた。たっぷり雪がある頃は相当な急斜面の

　雪壁となるところだろう。

　　小同心クラックの取り付きに９：５０前頃となったから、およそ

　２時間半もかかった。これはちょっと想定外。見上げる岩峰には

　雪は全く付いてないのだが、アイゼンワークの練習の意味もある

　のでアイゼン登攀とすることにした。もちろん手袋も付けて登る。

　　ペアは経験者組みの師匠ペアとＯ２組みでシシ岩のときと同じ

　組み合わせとする。ここは経験者の師匠組みの先行。

　　このときで１０：１０頃。

　　　（続く）