
小出裕章
「原発の終わらせ方」
5月2日の毎日新聞に小出裕章さんの記事が載っていた。小出さんは元京都大原子炉実験所の助教授だった人で、「原子力の場」に身を置きながら原子力廃絶のための研究を続けてきた人である。15年3月に定年退職して、今は「仙人になりたい」と信州に引っ込んで暮らしている。しかし「原子力を研究する場に身を置いていた人間として、自分には特別な責任がある」として要請があれば「原発の終わらせ方」などの講演を行なっているのだそうだ。
新型コロナの感染拡大で今4都府県に3度目の緊急事態宣言が発令中で、しかもまた延長されそうな事態であるが、ほとんどの人は福島第一原発事故で発令された原子力緊急事態宣言はいまだに解除されていないことを忘れている。
小出さんは差別や犠牲を強いる原子力(核、原発)を終わらせるために、「国を中心とする巨大な権力組織」*原子力マフィア*とたった一人で戦いを続けてきた。その講演会は400回を越すそうだ。
その講演会はYouTubeなどで見ることが出来る。
例えば
元々原子力の研究者だから福島で何が起こったのか、その放射能汚染の実態の凄まじさ、何故原発は廃絶されなければならないかなどを分かりやすく解説してくれている。是非聞いて欲しいものだ。(関連する講演も見られるはず)
最近40年を越す老朽原発の再稼働を設置県の知事が認めたりしている。原子力マフィアの利権構造は根強い。しかしこのままでは次の悲劇が、今度は東日本壊滅を超えて日本が壊滅することになりかねない。
福島第一原発の事故では「4号機の使用済み核燃料プールが干上がったり、ベント(排気)できなかった2号機で格納容器が大爆発したりすれば東日本が壊滅する恐れ」が実際にあったのだ。
この記事の中で「原子力マフィアの犯罪」について非常に気になることが書かれている。
「小出さんは2月刊行の『原発事故は終わってない』(毎日新聞出版)にこう記す。<私の周辺には、事故を装い殺された疑いが拭いきれない人が5人います。また、自死を装って殺されたのかもしれない人が2人います・・>
小出さんは記者に「その一人一人の名前と死亡時の状況を説明した。そこに
水戸さん親子も含まれていた。」
小出さんの恩師で「いち早く原発の危険性を訴え、反原発運動の黎明期を切り開いた」当時東大原子核研究所の助教授だった水戸巌さん(53歳)は山が好きだった。その水戸さんと双子の息子さん(24歳)が、86年末冬の北アルプス・剱岳を登山中に遭難した。
3人の遺体が見つかった時「3人の靴がテント内に残されていた」というあり得ないことが「謎」として残っているのだそうだ。
靴を残したのは原子力マフィアのメッセージに違いない。