それからというもの、俺に対するいじめはずーっと続いた。
お弁当の中身を無理やり取り上げられてゴミ箱に捨てられたり、上履きを隠されたり、机に落書きされたりと色々された。
最初の頃はその度に泣いていたけど、慣れてくると
ああ、またか。って感じになってどーでも良くなってくる。
不思議だよね。
なんとも思わなくなるって。
「はああああ〜〜〜・・・お腹減った・・・」
机の上にある落書きを消しゴムで消しながら、大きなため息をつく。
だって、今日なんか朝、寝坊して朝ごはん食べてないし、お昼だっていつもの通りにゴミ箱行きになって昨日の夜からなにも食べてないんだもん。
ちょー腹減った〜
死にそう。
今日の晩御飯なにかなー??
唐揚げ?唐揚げがいい!!
あ、でも唐揚げ一昨日食べたや!
じゃあ、ダメだよね。
ちぇっ!
「よーし!終わった!!さあ、帰るぞー」
わざと声に出して立ち上がる。
あ、帰る前に病院寄ってこ ♪
橋井くんのお見舞いに毎日行ってるからそれが日常になっちゃって。
今日は何にしようかなー?
昨日はカフェオレだったから、今日はミルクティーにしてあげよっ。
「橋井くん!今日はミルクティーにしたよ」
「ありがとう〜相葉くん!!」
「どーいたしまして!」
「大丈夫?その傷」
「えー、なにがぁ?」
「その頰の傷」
そっか。切れちゃってたんだ。
なんか痛いなーって思っていたけど。
「ぜーんぜん大丈夫!心配しなくていいよ」
「・・・ごめんね。僕のせいで」
「違うってばぁ〜自分で選んだことだからいいのっ!」
「すごいね・・・相葉くんは。僕はそんなにポジティブになれないよ」
「そうだよね〜確かに。でも笑ってる方が楽しいからさ。メソメソ泣いてるより。・・・って思った〜」
「ふふふ。相葉くんらしいね」
「ありがと!じゃあ、帰るね!」
「うん!ミルクティーありがとう」
「いえいえ〜じゃあね!」
ベッドの上で静かに手を振る橋井くんにバイバイ〜って手を振って、病室を出た。
外に出ると綺麗な夕焼けが広がっていた。
俺、この空に弱いんだよなぁ〜
どこまでも果てしなく広がっている空をみるとなんだか泣けてくる。
みんな同じ空の下にいて、今戦争や紛争をしてて家族が死んじゃったり、友達が死んじゃったり、大切な人やものをなくしてしまって悲しんでいる人がたくさんいる。
俺以外にももっとひどくいじめられている人や、家庭内暴力で苦しんでる人たちがいっぱいいる。
それでも必死に生きている人達がたくさんこの空の下にいる。
そう考えると、自分のちっぽけさがよくわかる。
こんなことでクヨクヨしてるなんてなーんて馬鹿らしい。
俺よりも苦しい思いをしている人達はいっぱいいるんだ。
だからもっと元気出さなきゃ!
何事もポジティブにってそれが俺のモットーなんだから。
「よ〜し!!!5分以内に家に帰るぞ〜」
そう気合いを入れて走り出す。
ん?
ちょっと待って。
よーく考えてみたらだよ?
考えてみたらだよ?
ここから家まで2キロくらいあるんだけど!
そんな距離5分じゃ無理じゃね?
まあ、いっか ♪
